2012年05月17日
5月24日の勉強会@日吉キャンパス
5月22日から6月20日まで日本に一時帰国します。一ヶ月しか滞在しませんが、「緑の党のようなもの!」を立ち上げる活動に関わる予定です。
5月24日(木)に慶應大学の日吉キャンパスの協生館3FのC3S02教室@19:00-21:00で勉強会をやります。私がウプサラで知り合った方が慶應のシステムデザイン研究科で研究員をしており、今回の勉強会をアレンジしてくれました。私はゲストスピーカーの一人として「スウェーデンの環境党の活動や若者参加」について話します。他にも交詢社(福澤諭吉が創った社交クラブ!)で地球環境研究会を立ち上げて活動をされている大森弘一郎さんがゲスト。
もし留学生が多数参加する場合は英語で話す予定です(下手な英語でw)。若い理系系の研究者や留学生の方もいらっしゃるようなので面白いと思います。もし興味のある方がいたら大歓迎です。その際は私までメールしていただければと思います。
ホームページでのお知らせ
5月24日(木)に慶應大学の日吉キャンパスの協生館3FのC3S02教室@19:00-21:00で勉強会をやります。私がウプサラで知り合った方が慶應のシステムデザイン研究科で研究員をしており、今回の勉強会をアレンジしてくれました。私はゲストスピーカーの一人として「スウェーデンの環境党の活動や若者参加」について話します。他にも交詢社(福澤諭吉が創った社交クラブ!)で地球環境研究会を立ち上げて活動をされている大森弘一郎さんがゲスト。
もし留学生が多数参加する場合は英語で話す予定です(下手な英語でw)。若い理系系の研究者や留学生の方もいらっしゃるようなので面白いと思います。もし興味のある方がいたら大歓迎です。その際は私までメールしていただければと思います。
ホームページでのお知らせ
2012年05月16日
ウプサラ大学の学生組合と政治
先月、年に一度のウプサラ大学•学生組合の選挙が行なわれた。学生組合は、メンバーシップによって支えられ、大学の教育環境や学生の福利厚生の向上に努めている組織である。学生組合の選挙は、政党の学生部によって組織され、各党の得票率によって議席が割り当てられる(比例代表制)。
選挙の結果はというと、環境党は昨年よりも得票率を伸ばし、7議席を獲得した(去年は5議席)。ひそかに参加していた私は14票を獲得したが、残念ながらあと2票足りず当選ならず、代理(replacement)になった。ちなみに、他の政党はというと、ウプサラ大学党(地域政党のようなもの)が最多の11席、フェミニスト党が5議席、左党(共産党)が5議席、穏健党(保守党)は4議席、社会民主党は4議席、海賊党は3議席、中央党は2議席だった。つまり、ウプサラ大学党を除けば、環境党の学生部が最も多くの得票率を獲得している。
去年までは穏健党/ウプサラ大学党/中央党/海賊党が連立で与党を組んでいたが、今年は環境党/社会民主党/海賊党/フェミニズム党が連立を組んで与党になった(ちなみに去年、海賊党は左派と組むと約束しておきながら、結局、右派に鞍替えした)。議会の初日は、組織の執行部のメンバーを決める重要な場である。組合代表のポジションに立候補したのは、海賊党の女性とウプサラ大学党の男性の二人だった。ウプサラ大学党に次ぐ最大勢力でありながら、環境党からは誰も立候補しなかった。海賊党を取り込むための妥協もあるらしいが、環境党に適切な人材がいなかったというのが本当のところかもしれない。立候補した二人は、5分のスピーチをしたあと、それぞれ会場から30分に渡る「質問(尋問?)」を受けた。
「組合代表として一番やりたいことは何か?」「組合員を増やすために何をするか?「政党中心の組織運営についてどう思うか?」「ウプサラの住宅不足にはどう対応するのか?」「薬学系の学生が議会には少ないが、どう思うか?」ー。
具体的かつポイントを得た質問と、それに対してきちんと受け答えできている立候補者。二人ともまるで政治家のような振る舞い方であった。スウェーデンの大学組合が政治家養成の場として機能していたというが、それもうなづける。
しかし、今、大学組合が果たしている役割にも疑問の声が出てきている。
======================
これまでウプサラ大学では学生組合の入会は義務であったが、2010年からは自由となった。それ以来、組合の会員数は減り続けており、今年は全体の75%まで下がった。また、今回の学生組合の選挙での投票率は10%で低い水準に留まっている(去年は6%強)ので、正当性があるかといえば疑問符が付く。なぜ学生組合への関心が低くなっているかというと、二つ理由が考えられる。一つは「学生組合に参加するメリットが見えないこと」。もう一つは「政党が自分たちの意見を上手く反映していないこと」だ。
例えば、今回の選挙では、右派の政党から「学生組合における政党政治の廃止」という提案が出てきた。現在のシステムでは、政党ごとに選出された学生らが、それぞれの担当分野で細かい方針を作り、それを議会に掛ける。ただ、選ばれた学生の専攻科目が文系に隔たっているので、理系の学生の中では自分らの利益になっていないという声が高まっている(実際、農学/生物学の学部は学生組合から脱退し、自分たちだけの組合を作っている)。たしかにそれぞれの専攻科目ごとに組合を作れば、メンバーの興味や関心に沿ったサービスが提供しやすくなる。同じ専攻を学んでいる学生ならば顔も見えやすいし、相談もしやすいだろう。
ただ、その一方で、ウプサラ大学としての全体利益を見据えた運営が難しくなるという短所もある。ウプサラの学生組合は、学生の福利厚生に努めるだけでなく、ウプサラ大学の予算分配やスウェーデン全体の高等教育政策にも関わることができる(ただどこまで政策決定に影響を及ぼすのかは不明)。こういう全体的な観点から見ると、政党中心の組合運営が好ましい。
しかし、今問題なのは、政党が社会全体/学生全体の意見をどこまでバランスよく反映しているのか、ということだろう。これまで政党はスウェーデンの社会で大きな役割を果たしてきた。市議会の委員会では選挙で選ばれていなくとも政党によって承認されればメンバーになれる。また、日本の栽培員制度の下では「ランダムに選ばれた市民」が刑事裁判に参加するが、スウェーデンでは「政党によって選ばれたメンバー」が参加する。ただ、政党に所属する会員数が減り続けており、政党の「正当性」も揺らいできている。ウプサラ大学の組合政治に対する不信の背景には、スウェーデン社会における政党政治の地盤沈下があると思われる。
あと数年後、もしかしたらウプサラの組合政治のあり方も変わっているかもしれない。
選挙の結果はというと、環境党は昨年よりも得票率を伸ばし、7議席を獲得した(去年は5議席)。ひそかに参加していた私は14票を獲得したが、残念ながらあと2票足りず当選ならず、代理(replacement)になった。ちなみに、他の政党はというと、ウプサラ大学党(地域政党のようなもの)が最多の11席、フェミニスト党が5議席、左党(共産党)が5議席、穏健党(保守党)は4議席、社会民主党は4議席、海賊党は3議席、中央党は2議席だった。つまり、ウプサラ大学党を除けば、環境党の学生部が最も多くの得票率を獲得している。
去年までは穏健党/ウプサラ大学党/中央党/海賊党が連立で与党を組んでいたが、今年は環境党/社会民主党/海賊党/フェミニズム党が連立を組んで与党になった(ちなみに去年、海賊党は左派と組むと約束しておきながら、結局、右派に鞍替えした)。議会の初日は、組織の執行部のメンバーを決める重要な場である。組合代表のポジションに立候補したのは、海賊党の女性とウプサラ大学党の男性の二人だった。ウプサラ大学党に次ぐ最大勢力でありながら、環境党からは誰も立候補しなかった。海賊党を取り込むための妥協もあるらしいが、環境党に適切な人材がいなかったというのが本当のところかもしれない。立候補した二人は、5分のスピーチをしたあと、それぞれ会場から30分に渡る「質問(尋問?)」を受けた。
「組合代表として一番やりたいことは何か?」「組合員を増やすために何をするか?「政党中心の組織運営についてどう思うか?」「ウプサラの住宅不足にはどう対応するのか?」「薬学系の学生が議会には少ないが、どう思うか?」ー。
具体的かつポイントを得た質問と、それに対してきちんと受け答えできている立候補者。二人ともまるで政治家のような振る舞い方であった。スウェーデンの大学組合が政治家養成の場として機能していたというが、それもうなづける。
しかし、今、大学組合が果たしている役割にも疑問の声が出てきている。
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これまでウプサラ大学では学生組合の入会は義務であったが、2010年からは自由となった。それ以来、組合の会員数は減り続けており、今年は全体の75%まで下がった。また、今回の学生組合の選挙での投票率は10%で低い水準に留まっている(去年は6%強)ので、正当性があるかといえば疑問符が付く。なぜ学生組合への関心が低くなっているかというと、二つ理由が考えられる。一つは「学生組合に参加するメリットが見えないこと」。もう一つは「政党が自分たちの意見を上手く反映していないこと」だ。
例えば、今回の選挙では、右派の政党から「学生組合における政党政治の廃止」という提案が出てきた。現在のシステムでは、政党ごとに選出された学生らが、それぞれの担当分野で細かい方針を作り、それを議会に掛ける。ただ、選ばれた学生の専攻科目が文系に隔たっているので、理系の学生の中では自分らの利益になっていないという声が高まっている(実際、農学/生物学の学部は学生組合から脱退し、自分たちだけの組合を作っている)。たしかにそれぞれの専攻科目ごとに組合を作れば、メンバーの興味や関心に沿ったサービスが提供しやすくなる。同じ専攻を学んでいる学生ならば顔も見えやすいし、相談もしやすいだろう。
ただ、その一方で、ウプサラ大学としての全体利益を見据えた運営が難しくなるという短所もある。ウプサラの学生組合は、学生の福利厚生に努めるだけでなく、ウプサラ大学の予算分配やスウェーデン全体の高等教育政策にも関わることができる(ただどこまで政策決定に影響を及ぼすのかは不明)。こういう全体的な観点から見ると、政党中心の組合運営が好ましい。
しかし、今問題なのは、政党が社会全体/学生全体の意見をどこまでバランスよく反映しているのか、ということだろう。これまで政党はスウェーデンの社会で大きな役割を果たしてきた。市議会の委員会では選挙で選ばれていなくとも政党によって承認されればメンバーになれる。また、日本の栽培員制度の下では「ランダムに選ばれた市民」が刑事裁判に参加するが、スウェーデンでは「政党によって選ばれたメンバー」が参加する。ただ、政党に所属する会員数が減り続けており、政党の「正当性」も揺らいできている。ウプサラ大学の組合政治に対する不信の背景には、スウェーデン社会における政党政治の地盤沈下があると思われる。
あと数年後、もしかしたらウプサラの組合政治のあり方も変わっているかもしれない。
2012年05月10日
スウェーデンのジャーナリストは環境党が好き
スウェーデンのジャーナリストを対象に「どの政党が一番好きか」という政党支持の調査が行なわれた(約五年ごとに行なわれている)。その結果はというと、環境党が42%の支持を受けて断トツの一位、次に左党(15%)、社会民主党と穏健党(保守党)(14%)が続いた。環境党は、前回の調査(2005年)の23%から19%も支持を伸ばし、大躍進となった。
環境党が伸びた一番の理由として「社民党党首のスキャンダル」が上げられていた。この調査が行なわれたときは、ちょうど社民党の前党首であるホーカン=ユーホルト(Håkan Juholt)のスキャンダル(公費をアパート代に流用など)の真っ最中だった。このネガティブな出来事のせいで、いつもなら社民党に入る支持が、環境党へと流れたのだという。ただし、さすがにそれだけではないだろう。環境党の党首の魅力、党内民主主義の取り組み、取材のし易さ、政策の中道化(EU肯定、グリーンニューディール)なども背景にあると思われる。
(ちなみに調査の方法は、ジャーナリスト組合に所属する人(17,300人)のうち、ランダムに抽出された2500人が対象。こちらを参照のこと(スウェーデン語))
この調査から分かることは、1)ジャーナリスト(組合)は、一般世論を反映しておらず、2)ジャーナリストの性別や年齢によって、支持政党に差があり、3)ジャーナリストの所属先によって支持政党に差がある、ということ。

調査結果(%)

過去の調査結果との比較(%)
1)については、ジャーナリストは一般世論と比べて、左党と環境党への支持が高くなっている。特に環境党は、30%の乖離がある。また、穏健党は一般市民から34%の支持を受けているが、ジャーナリストからは14%に留まっており、その差は20%に上る。
2)男女差については、女性はみどりを支持し、男性は保守党を好む傾向にある。女性のジャーナリストの環境党の支持率は47%だが、穏健党は12%となっている。男性の環境党への支持は37%に留まり、穏健党への支持は17%となっている。逆に、年齢差を見てみると、30-49代では、環境党への支持が48%に上るのに対し、20代では37%に留まっている(ただ、後者の若い人達は左党をより支持している(18%))。
また、3)公共放送や公共ラジオに所属するジャーナリストは、より環境党に対して好感を示しているが(約53%)、新聞メディアでは40%に留まっている。
=====================================
マスメディアは単に現実を映す「鏡」ではなく、現実を作り上げる装置でもある。一般世論の動向を動かすだけでなく、社会規範を形成する上でも大きな役割を果たしている。もしもジャーナリストの支配的な思想が市民の思想形成に影響力を持つのならば、一般市民の環境党や左党に対する支持がもっと多いはずだが、実際はそうではない。このことは、メディアの影響力が小さいことを意味しているのか、それともジャーナリストが自分の「色」を出さずに中立的に報道していることを意味しているのだろうか? これは興味深いテーマである。
ただ、スウェーデンのメディアに対する不満はあるようだ。私が友人に対して、この結果を(わざと嬉しそうに)見せたところ、「スウェーデンの大手メディアが進歩主義的な左翼勢力に牛耳られていることがはっきりした」と怒りをぶちまけ、「ジャーナリズムの役割は事実を中立的かつ多角的に報道することであるが、スウェーデンのジャーナリストは、自分の理想に向けて市民を啓蒙することが良いジャーナリズムだと思っている」と批判した。
環境党が伸びた一番の理由として「社民党党首のスキャンダル」が上げられていた。この調査が行なわれたときは、ちょうど社民党の前党首であるホーカン=ユーホルト(Håkan Juholt)のスキャンダル(公費をアパート代に流用など)の真っ最中だった。このネガティブな出来事のせいで、いつもなら社民党に入る支持が、環境党へと流れたのだという。ただし、さすがにそれだけではないだろう。環境党の党首の魅力、党内民主主義の取り組み、取材のし易さ、政策の中道化(EU肯定、グリーンニューディール)なども背景にあると思われる。
(ちなみに調査の方法は、ジャーナリスト組合に所属する人(17,300人)のうち、ランダムに抽出された2500人が対象。こちらを参照のこと(スウェーデン語))
この調査から分かることは、1)ジャーナリスト(組合)は、一般世論を反映しておらず、2)ジャーナリストの性別や年齢によって、支持政党に差があり、3)ジャーナリストの所属先によって支持政党に差がある、ということ。

調査結果(%)

過去の調査結果との比較(%)
1)については、ジャーナリストは一般世論と比べて、左党と環境党への支持が高くなっている。特に環境党は、30%の乖離がある。また、穏健党は一般市民から34%の支持を受けているが、ジャーナリストからは14%に留まっており、その差は20%に上る。
2)男女差については、女性はみどりを支持し、男性は保守党を好む傾向にある。女性のジャーナリストの環境党の支持率は47%だが、穏健党は12%となっている。男性の環境党への支持は37%に留まり、穏健党への支持は17%となっている。逆に、年齢差を見てみると、30-49代では、環境党への支持が48%に上るのに対し、20代では37%に留まっている(ただ、後者の若い人達は左党をより支持している(18%))。
また、3)公共放送や公共ラジオに所属するジャーナリストは、より環境党に対して好感を示しているが(約53%)、新聞メディアでは40%に留まっている。
=====================================
マスメディアは単に現実を映す「鏡」ではなく、現実を作り上げる装置でもある。一般世論の動向を動かすだけでなく、社会規範を形成する上でも大きな役割を果たしている。もしもジャーナリストの支配的な思想が市民の思想形成に影響力を持つのならば、一般市民の環境党や左党に対する支持がもっと多いはずだが、実際はそうではない。このことは、メディアの影響力が小さいことを意味しているのか、それともジャーナリストが自分の「色」を出さずに中立的に報道していることを意味しているのだろうか? これは興味深いテーマである。
ただ、スウェーデンのメディアに対する不満はあるようだ。私が友人に対して、この結果を(わざと嬉しそうに)見せたところ、「スウェーデンの大手メディアが進歩主義的な左翼勢力に牛耳られていることがはっきりした」と怒りをぶちまけ、「ジャーナリズムの役割は事実を中立的かつ多角的に報道することであるが、スウェーデンのジャーナリストは、自分の理想に向けて市民を啓蒙することが良いジャーナリズムだと思っている」と批判した。
2012年05月07日
EU/欧州議会④
ブリュッセルでの滞在中、スウェーデンのイサベラ=ロビーン欧州議員の秘書に頼んで、4月23日-24日に漁業委員会を聴講させてもらった。欧州議会はブリュッセルとストラスブルグの二カ所にあり、月に一週間〜二週間ずつ、二つの都市を行き来する。今回もストラスブルグでのセッションを終えた政治家たちが大挙をなしてブリュッセルにやって来た(壮大なる税金の無駄使い!)。
さて、漁業委員会の議題は共通漁業政策の改革に関するもので多岐に渡った。その中でも焦点になっていたのは「船上でのフカヒレ漁(shark finning)の全面禁止」と「漁業権譲渡スキーム(Transferable Fishing Concession) 」。
フカヒレ漁は、船上でサメのヒレだけを切り取り、胴体を海に捨てる行為を指す。EUでは2003年から禁止されていたが、いくつか例外規定があった(例えば、切り取られたヒレの重さが、サメの合計重量の5%以下であれば、ヒレと個体を別々の港でおろすことができる)。今回の法案では、サメの個体がヒレの付いたまま陸揚げされることを例外なく要求している。例外規定があると、その規定を上手くチョロマカそうとする漁業者が出てくるし、漁業者がルールを遵守しているかどうかチェックする必要が出てくる。だが、すべてをチェックすることは不可能であるし、チェックを強化しようとすれば余分なコストが掛かる。よって欧州委員会は、「フカヒレ漁の全面禁止」が最も効率的な方法と判断した。
だが、スペインやポルトガルの議員たちはこれに反対している。漁船の倉庫は限られているので、お金になるヒレだけをできるだけたくさん持って帰りたいのである。
これに関する議論は白熱して面白かった。ポルトガルの議員は「私が見たデータでは、サメの個体数は必ずしも減っていない。またヨシキリザメ(blue shark)などの特定のサメは繁殖力が高く成長が早いので取っても問題はない」という。これに対して、欧州委員会の担当者や他の議員らが「個体数が危機的に減っていることは、どの公式的なデータを見ても明らかだ。さらに調査が必要なことには同意するが、それにはコストがかかるし、すべての情報が手に入ることはありえない。予防原則に沿って行動することが大事だ」といって反論した。
これは欧州議会では6月に委員会での採決、その後、9月に全体の議会で採決される予定。北欧やイギリスはこれを支持するだろうし、南欧の国は反対するだろう。ドイツやフランスの議員がどのように投票するかがキーポイントとなりそうだ。
もう一つの焦点は「漁業権譲渡スキーム(Transferable Fishing Concession,TFC)」。これは乱獲を防ぐための施策として最も注目され、また論争の的になっている。TFCの眼目は、市場メカニズムを利用することで、きちんと管理能力がある漁船が生き残り、そうでない漁船が淘汰されることにある。市場メカニズムを使うという点では、排出権取引の漁業版ともいえる。まず、各加盟国が、既に決められているクオータを国内の漁船に割り振る。その際に過去の実績や伝統に配慮する(ex 沿海部の小規模漁船)。そして、大事なことは、さらに全体の5%の漁業枠をオークションの枠として残しておくこと。これにより、オークションでの競争を通じて、管理能力のある漁船はさらに漁業枠を増やすことができる。
スペインやポルトガルの議員は「考えうる最も効果的で効率的な仕組み」としてTFCを擁護していたが、フランスやスウェーデン、ドイツなどの議員が反対していた。主な理由としては次のようなことがあげられていた。1)乱獲の問題の根っこは、きちんとしたクオータを設定することである。漁船の数を減らしたからといって、乱獲が減るとは限らない(漁船の数が減ったとしても漁船の稼働能力が高いため乱獲は続く)。2)EUのなかでもきちんと資源管理できている国とそうでない国がある。すべての加盟国が一律でTCFを導入する必要はない。3)自由競争で漁業権の購入を認めれば、スペインやポルトガルの大型漁船に小規模の地元の漁船が駆逐される。4)漁業権が投機の対象になる。
この日、会場は座れない人が出るほどの盛況振りだった。また、環境団体の人の数も多かった。彼らは入り口で待ち構えて、プリントを配布していた。手渡された紙には、その日の議題ごとに詳しい背景説明や政策提言が掲載されていた。しかも、それは、別々の団体が統一戦線を組んで作成した共同文書だった。そこには「Bird Life, Oceana, Greenpeace, Ocean2012, WWF」のロゴと担当者のサインが掲載されていた。こういう市民団体の圧力がどれほど政治家を動かすのかは分からないが、世界的に知られるNGOが統一キャンペーンを張ることの意義は少なくないだろう。
ちなみに、TCFの法案が欧州議会で採決されるのは上手くいけば9月の予定だ。
さて、漁業委員会の議題は共通漁業政策の改革に関するもので多岐に渡った。その中でも焦点になっていたのは「船上でのフカヒレ漁(shark finning)の全面禁止」と「漁業権譲渡スキーム(Transferable Fishing Concession) 」。
フカヒレ漁は、船上でサメのヒレだけを切り取り、胴体を海に捨てる行為を指す。EUでは2003年から禁止されていたが、いくつか例外規定があった(例えば、切り取られたヒレの重さが、サメの合計重量の5%以下であれば、ヒレと個体を別々の港でおろすことができる)。今回の法案では、サメの個体がヒレの付いたまま陸揚げされることを例外なく要求している。例外規定があると、その規定を上手くチョロマカそうとする漁業者が出てくるし、漁業者がルールを遵守しているかどうかチェックする必要が出てくる。だが、すべてをチェックすることは不可能であるし、チェックを強化しようとすれば余分なコストが掛かる。よって欧州委員会は、「フカヒレ漁の全面禁止」が最も効率的な方法と判断した。
だが、スペインやポルトガルの議員たちはこれに反対している。漁船の倉庫は限られているので、お金になるヒレだけをできるだけたくさん持って帰りたいのである。
これに関する議論は白熱して面白かった。ポルトガルの議員は「私が見たデータでは、サメの個体数は必ずしも減っていない。またヨシキリザメ(blue shark)などの特定のサメは繁殖力が高く成長が早いので取っても問題はない」という。これに対して、欧州委員会の担当者や他の議員らが「個体数が危機的に減っていることは、どの公式的なデータを見ても明らかだ。さらに調査が必要なことには同意するが、それにはコストがかかるし、すべての情報が手に入ることはありえない。予防原則に沿って行動することが大事だ」といって反論した。
これは欧州議会では6月に委員会での採決、その後、9月に全体の議会で採決される予定。北欧やイギリスはこれを支持するだろうし、南欧の国は反対するだろう。ドイツやフランスの議員がどのように投票するかがキーポイントとなりそうだ。
もう一つの焦点は「漁業権譲渡スキーム(Transferable Fishing Concession,TFC)」。これは乱獲を防ぐための施策として最も注目され、また論争の的になっている。TFCの眼目は、市場メカニズムを利用することで、きちんと管理能力がある漁船が生き残り、そうでない漁船が淘汰されることにある。市場メカニズムを使うという点では、排出権取引の漁業版ともいえる。まず、各加盟国が、既に決められているクオータを国内の漁船に割り振る。その際に過去の実績や伝統に配慮する(ex 沿海部の小規模漁船)。そして、大事なことは、さらに全体の5%の漁業枠をオークションの枠として残しておくこと。これにより、オークションでの競争を通じて、管理能力のある漁船はさらに漁業枠を増やすことができる。
スペインやポルトガルの議員は「考えうる最も効果的で効率的な仕組み」としてTFCを擁護していたが、フランスやスウェーデン、ドイツなどの議員が反対していた。主な理由としては次のようなことがあげられていた。1)乱獲の問題の根っこは、きちんとしたクオータを設定することである。漁船の数を減らしたからといって、乱獲が減るとは限らない(漁船の数が減ったとしても漁船の稼働能力が高いため乱獲は続く)。2)EUのなかでもきちんと資源管理できている国とそうでない国がある。すべての加盟国が一律でTCFを導入する必要はない。3)自由競争で漁業権の購入を認めれば、スペインやポルトガルの大型漁船に小規模の地元の漁船が駆逐される。4)漁業権が投機の対象になる。
この日、会場は座れない人が出るほどの盛況振りだった。また、環境団体の人の数も多かった。彼らは入り口で待ち構えて、プリントを配布していた。手渡された紙には、その日の議題ごとに詳しい背景説明や政策提言が掲載されていた。しかも、それは、別々の団体が統一戦線を組んで作成した共同文書だった。そこには「Bird Life, Oceana, Greenpeace, Ocean2012, WWF」のロゴと担当者のサインが掲載されていた。こういう市民団体の圧力がどれほど政治家を動かすのかは分からないが、世界的に知られるNGOが統一キャンペーンを張ることの意義は少なくないだろう。
ちなみに、TCFの法案が欧州議会で採決されるのは上手くいけば9月の予定だ。
2012年05月04日
EU/欧州議会③
私の修士論文では、2009年のリスボン条約の発効後、欧州議会の「共同手続き」の権限が「共通農業政策(CAP)」や「共通漁業政策(CFP)」にも適用されたことから、欧州議会の政策決定に果たす役割に注目している。特に上記の二つの政策分野は、これまで閣僚理事会が政策決定を独占してきた。加盟国の農業•漁業セクターのサイズや力関係によって政策が決められてきたのである。だが、欧州議会が法案作成のプロセスに参加できるようになれば、従来の政策決定のプロセスに変化を及ぼす可能性がある。つまり、私が修士論文で書いているのは、リスボン条約によって与えられた欧州議会の新しい権限が、どのように議員の投票行動に影響を与えるのか、そして、実際にどのように政策を変えるのか、ということだ。
一般的に欧州議会の議員は、各国の利益よりも欧州全体の利益を前提にして行動し、特に環境政策ではより強い規制を好むといわれる(これは欧州市民の選好を反映している)。実際、農業、漁業政策は産業的な側面だけでなく環境政策とも切っても切り離せないものになっていることを考えると、これまで直接利害を持つ議員ばかりで構成されてきた農業/漁業委員会で、環境保護に重きを置く議員が増えることが予想される。特に漁業分野は、スペインやポルトガルなど国が大きな利権を有しているが、ドイツ、チェコ、ハンガリーにとってはそれほど重要なセクターではない。つまり、後者の加盟国の議員にとっては利権がそれほど大きくないだけに、欧州全体で魚資源の懸念が強くなれば、これまで「何となく」グループの方針に従ってきた議員が投票行動を変えるかもしれない。
これらの変化を調べるにはどうすればいいのか? 欧州議員の投票行動を調べるにはロールコールを見れば良い。ロールコールは、電子記録された投票のこと。投票にはいくつか種類があり(手での投票)、すべての投票が記録されているわけではないが、ロールコールは全体の投票の30%ほどを占めている。ちなみに、リスボン条約の発効後は、すべての法案(ordinary legislative resolution)に対してロールコールが取られるようになった。
また、漁業委員会で環境志向の考え方が強くなったかどうかは、議員の投票記録だけでなく、委員会のメンバーを見ることでも調べられる(メンバーは2年半ごとに改変あり)。ただ、量的な分析だけでは十分な結果が出てこないので、インタビューなどの質的な分析をする必要がある。世論の変化や環境団体のロビーイングの戦略なども考慮することも必要だろう。
一般的に欧州議会の議員は、各国の利益よりも欧州全体の利益を前提にして行動し、特に環境政策ではより強い規制を好むといわれる(これは欧州市民の選好を反映している)。実際、農業、漁業政策は産業的な側面だけでなく環境政策とも切っても切り離せないものになっていることを考えると、これまで直接利害を持つ議員ばかりで構成されてきた農業/漁業委員会で、環境保護に重きを置く議員が増えることが予想される。特に漁業分野は、スペインやポルトガルなど国が大きな利権を有しているが、ドイツ、チェコ、ハンガリーにとってはそれほど重要なセクターではない。つまり、後者の加盟国の議員にとっては利権がそれほど大きくないだけに、欧州全体で魚資源の懸念が強くなれば、これまで「何となく」グループの方針に従ってきた議員が投票行動を変えるかもしれない。
これらの変化を調べるにはどうすればいいのか? 欧州議員の投票行動を調べるにはロールコールを見れば良い。ロールコールは、電子記録された投票のこと。投票にはいくつか種類があり(手での投票)、すべての投票が記録されているわけではないが、ロールコールは全体の投票の30%ほどを占めている。ちなみに、リスボン条約の発効後は、すべての法案(ordinary legislative resolution)に対してロールコールが取られるようになった。
また、漁業委員会で環境志向の考え方が強くなったかどうかは、議員の投票記録だけでなく、委員会のメンバーを見ることでも調べられる(メンバーは2年半ごとに改変あり)。ただ、量的な分析だけでは十分な結果が出てこないので、インタビューなどの質的な分析をする必要がある。世論の変化や環境団体のロビーイングの戦略なども考慮することも必要だろう。
2012年05月01日
EU/欧州議会 ②
EUがどのような政策決定プロセスの下で機能しているのか? ここをきちんと理解している人は日本にはまずあまりいないだろうし、おそらくEUに住んでいる人でも稀だろう。私も法制度については細かいところまで分かっているわけではないが、ここでは出来る限り簡単に説明しよう。
大雑把に言うと、EUには政策決定プロセスに欠かせない三つの機関がある。それは「欧州委員会(European Commission)」、「閣僚理事会(Council of Ministers)」、そして「欧州議会(European Parliament)」である。欧州委員会は、いわゆる「内閣(cabinet)」に当たる機関である。すべての政策の立案•作成機能を独占的に有している。基本的には欧州委員会しか法律の草案を提出することができない。まさにEUの司令塔的な存在といえる。

欧州委員会のトップは、各加盟国と欧州議会の承認を経て選出される(現在は、バロッソ大統領)。また、欧州委員会の閣僚(コミッショナー)は、各加盟国によって一人ずつ推薦され、外交、経済、環境、産業などのそれぞれの専門分野に割り当てられる。欧州委員会の閣僚と官僚は、各国の利益のために働いてはいけない。あくまでも「ヨーロッパ全体の利益」に奉仕することが義務づけられている(実際は必ずしもそうではないらしいが)。
欧州委員会が草案を提出した後、閣僚理事会と欧州議会が精査を行なう。閣僚理事会は、加盟国の大臣によって構成される。閣僚理事会では、各国の大臣は国益を背負って交渉を行なう。多数の賛成(あるいは全会一致)が得られなければ法案が通らないので、時々、審議が止まる。そうなった場合、27カ国の代表(首相や大統領)の集まる「欧州理事会(European Council)」に委ねられる。欧州理事会はサミットと呼ばれる、実質、閣僚理事会の上位組織である。欧州理事会を束ねるのはファンロンポイ大統領であるが、実質的な力は何もない。例えば、現在の欧州危機では、ドイツ(とフランス)主導によるサミット会談が頻発に開かれており、欧州委員会や欧州議会などの機関をバイパスするように経済財政政策が決められている。
歴史的にEUの政策決定は、欧州委員会と閣僚理事会(あるいは欧州理事会のサミット会談)によって支配されてきた。しかし、20年くらいで、欧州議会が影響力を持ち始めてきた。当初、欧州委員会(と閣僚理事会)のトップダウンでEUの政策が決められ、欧州全体の市民の声が反映されていないという批判が高まってきたからだ(「民主主義の負債」)。民主主義は「人民による人民のための統治」(Rule by the people for the people)」と定義されるが、EUの場合は「エリートによる人民のための統治(Rule by the elite for the people」とよく揶揄され、今では「エリートによるエリートのための統治(Rule by the elite for the elite)とまで言われるまでに市民のEUに対する信頼は低下している。
つまり、欧州議会が発展してきたのは、EUの市民によって選ばれた欧州議員を、欧州委員会のトップの承認や法案の決定過程に参加させることで、民主的な正当性(democratic legitimacy)を高めようという狙いがあった。
当初は、法案作成のプロセスには「参考意見を述べる(Consultation)」というだけの役割しか与えられていなかった欧州議会であるが、現在では予算の決定、条約締結を担うようになっている。また、法案作成に参加できる分野(ex 環境政策)も増え、欧州議会が閣僚理事会とともに「共同手続き(co-decision procedure)」の権限を持つようになっている。つまり、共同手続きが適用される分野では、閣僚理事会で合意に至った決定を、欧州議会の反対によって拒否することが出来るのだ。しかも、2009年のリスボン条約の発効により、さらに欧州議会の「共同手続き」の適用範囲が「共通農業政策」や「共通漁業政策」にも広げられた。
現在のEUの法案成立の過程(Ordinary legislative procedure)を細かくまとめると、まず、欧州委員会が法案を提出した後、(加盟国の国会が補完性の原則(subsidiary principle)に則り、精査を行なった後)、閣僚理事会と欧州議会の各委員会がそれぞれ精査を行なう(第一次ステージ)。もし両院で修正がなく、多数の賛成が得られれば、そのまま法案は可決。もし閣僚理事会が欧州議会の修正点を受け入れない場合、あるいは閣僚理事会が欧州委員会の法案に修正点を入れた場合、次の審査に持ち越しとなる(第二次ステージ)。
ここで欧州議会が何もしなければ法案は可決となるが、もしさらに修正点を加えた上、過半数の賛成を得られれば、再度、閣僚理事会へと持ち込まれる。ここで欧州委員会の意見を参考にし、閣僚理事会で投票が行なわれる。もし欧州委員会の修正点が受け入れられなければ、調停委員会(Conciliation committee)が設けられる(第三ステージ)。調停委員会では、欧州議会と閣僚理事会のメンバーと、欧州委員会のスタッフで、妥協を探る。ここでも最後には閣僚理事会と欧州議会の承認が必要となる。もし妥協に失敗すれば、法案は廃案となる。
法案の細かい手続きはこちらを参照のこと。またこのチャートを見れば、EUの政策決定プロセスがいかに複雑かが分かるだろう。
大雑把に言うと、EUには政策決定プロセスに欠かせない三つの機関がある。それは「欧州委員会(European Commission)」、「閣僚理事会(Council of Ministers)」、そして「欧州議会(European Parliament)」である。欧州委員会は、いわゆる「内閣(cabinet)」に当たる機関である。すべての政策の立案•作成機能を独占的に有している。基本的には欧州委員会しか法律の草案を提出することができない。まさにEUの司令塔的な存在といえる。

欧州委員会のトップは、各加盟国と欧州議会の承認を経て選出される(現在は、バロッソ大統領)。また、欧州委員会の閣僚(コミッショナー)は、各加盟国によって一人ずつ推薦され、外交、経済、環境、産業などのそれぞれの専門分野に割り当てられる。欧州委員会の閣僚と官僚は、各国の利益のために働いてはいけない。あくまでも「ヨーロッパ全体の利益」に奉仕することが義務づけられている(実際は必ずしもそうではないらしいが)。
欧州委員会が草案を提出した後、閣僚理事会と欧州議会が精査を行なう。閣僚理事会は、加盟国の大臣によって構成される。閣僚理事会では、各国の大臣は国益を背負って交渉を行なう。多数の賛成(あるいは全会一致)が得られなければ法案が通らないので、時々、審議が止まる。そうなった場合、27カ国の代表(首相や大統領)の集まる「欧州理事会(European Council)」に委ねられる。欧州理事会はサミットと呼ばれる、実質、閣僚理事会の上位組織である。欧州理事会を束ねるのはファンロンポイ大統領であるが、実質的な力は何もない。例えば、現在の欧州危機では、ドイツ(とフランス)主導によるサミット会談が頻発に開かれており、欧州委員会や欧州議会などの機関をバイパスするように経済財政政策が決められている。
歴史的にEUの政策決定は、欧州委員会と閣僚理事会(あるいは欧州理事会のサミット会談)によって支配されてきた。しかし、20年くらいで、欧州議会が影響力を持ち始めてきた。当初、欧州委員会(と閣僚理事会)のトップダウンでEUの政策が決められ、欧州全体の市民の声が反映されていないという批判が高まってきたからだ(「民主主義の負債」)。民主主義は「人民による人民のための統治」(Rule by the people for the people)」と定義されるが、EUの場合は「エリートによる人民のための統治(Rule by the elite for the people」とよく揶揄され、今では「エリートによるエリートのための統治(Rule by the elite for the elite)とまで言われるまでに市民のEUに対する信頼は低下している。
つまり、欧州議会が発展してきたのは、EUの市民によって選ばれた欧州議員を、欧州委員会のトップの承認や法案の決定過程に参加させることで、民主的な正当性(democratic legitimacy)を高めようという狙いがあった。
当初は、法案作成のプロセスには「参考意見を述べる(Consultation)」というだけの役割しか与えられていなかった欧州議会であるが、現在では予算の決定、条約締結を担うようになっている。また、法案作成に参加できる分野(ex 環境政策)も増え、欧州議会が閣僚理事会とともに「共同手続き(co-decision procedure)」の権限を持つようになっている。つまり、共同手続きが適用される分野では、閣僚理事会で合意に至った決定を、欧州議会の反対によって拒否することが出来るのだ。しかも、2009年のリスボン条約の発効により、さらに欧州議会の「共同手続き」の適用範囲が「共通農業政策」や「共通漁業政策」にも広げられた。
現在のEUの法案成立の過程(Ordinary legislative procedure)を細かくまとめると、まず、欧州委員会が法案を提出した後、(加盟国の国会が補完性の原則(subsidiary principle)に則り、精査を行なった後)、閣僚理事会と欧州議会の各委員会がそれぞれ精査を行なう(第一次ステージ)。もし両院で修正がなく、多数の賛成が得られれば、そのまま法案は可決。もし閣僚理事会が欧州議会の修正点を受け入れない場合、あるいは閣僚理事会が欧州委員会の法案に修正点を入れた場合、次の審査に持ち越しとなる(第二次ステージ)。
ここで欧州議会が何もしなければ法案は可決となるが、もしさらに修正点を加えた上、過半数の賛成を得られれば、再度、閣僚理事会へと持ち込まれる。ここで欧州委員会の意見を参考にし、閣僚理事会で投票が行なわれる。もし欧州委員会の修正点が受け入れられなければ、調停委員会(Conciliation committee)が設けられる(第三ステージ)。調停委員会では、欧州議会と閣僚理事会のメンバーと、欧州委員会のスタッフで、妥協を探る。ここでも最後には閣僚理事会と欧州議会の承認が必要となる。もし妥協に失敗すれば、法案は廃案となる。
法案の細かい手続きはこちらを参照のこと。またこのチャートを見れば、EUの政策決定プロセスがいかに複雑かが分かるだろう。
2012年04月29日
EU/欧州議会①
私の修士論文のテーマは、欧州議会である。欧州議会は、国家を超えた新しい議会制民主主義の実験的な試みである。政治/経済制度、文化や考え方が大きく異なる27カ国の人々は、ナショナリティーではなく、イデオロギーに沿って欧州の政党グループを選び、政党グループは異なる国家を背負った議員をまとめて統一的に行動することができるのだろうか?
日本の自民党や民主党ですら思想的にも政策的にも分裂している状況を見ると、EUという大きな枠組みのなかでは、とても出来るとは思えないだろう。私もそう思っていた。ただ、これまでの研究を見てみると、欧州議会の政党グループは時を重ねるごとによりまとまって行動しているという好意的な結果が出ている。これは、私の欧州議会に対する大きなパズルだった。本来成立しないはずのものが成立している。これは本当だろうか? これまでの研究にどこか間違いがあるのではないか? だが、もし本当だとすれば、EUが希望を描けなくなったというのはまだ早いかもしれない EUの民主主義あるいはこれからの世界レベルでの新しい民主主義の形にも一筋の未来があるかもしれない。
そんな疑問から欧州議会の役割に興味を持ち、私は調べ始めた。正直、今でも欧州議会がどれくらい上手く機能しているのかよく分からない。欧州議会は世界でも類を見ないユニークな実験的な試みである。他に比較できるものがなければ良いか悪いかを判断できない。ドイツやアメリカの議会と比較しても、比較する対象があまりにも異なるため、あまり有益な結論は導けない。これから欧州議会がどうなっていくのか、どうすれば上手くいくのか、それを知るためには、もっと量的/質的な研究の蓄積が必要であろう。
日本の自民党や民主党ですら思想的にも政策的にも分裂している状況を見ると、EUという大きな枠組みのなかでは、とても出来るとは思えないだろう。私もそう思っていた。ただ、これまでの研究を見てみると、欧州議会の政党グループは時を重ねるごとによりまとまって行動しているという好意的な結果が出ている。これは、私の欧州議会に対する大きなパズルだった。本来成立しないはずのものが成立している。これは本当だろうか? これまでの研究にどこか間違いがあるのではないか? だが、もし本当だとすれば、EUが希望を描けなくなったというのはまだ早いかもしれない EUの民主主義あるいはこれからの世界レベルでの新しい民主主義の形にも一筋の未来があるかもしれない。
そんな疑問から欧州議会の役割に興味を持ち、私は調べ始めた。正直、今でも欧州議会がどれくらい上手く機能しているのかよく分からない。欧州議会は世界でも類を見ないユニークな実験的な試みである。他に比較できるものがなければ良いか悪いかを判断できない。ドイツやアメリカの議会と比較しても、比較する対象があまりにも異なるため、あまり有益な結論は導けない。これから欧州議会がどうなっていくのか、どうすれば上手くいくのか、それを知るためには、もっと量的/質的な研究の蓄積が必要であろう。
2012年04月28日
アフリカ博物館@Brussel
今日は、ブリュッセルの南の郊外にあるアフリカ博物館(Royal Museum For Central Africa)へ行った。モントゴメリー(Montgomery)駅からトラムの44番で南に20分ほど走ったところに、ひっそりとした森林エリアが広がっている。トラムを降りて歩くと、200mほど先に、右側面を向けたお城のような建物が見える。これが博物館である。午前中だからかほとんど人がいない。目の前の30m四方ほどの噴水池は枯れている。全体的にどこか色あせた雰囲気が漂っている。

ベルギーはアフリカ•コンゴ(民主共和国)の宗主国だった。ヨーロッパの国々の中でもとりわけ厳しく残虐な統治を行なったことで知られる。ここの博物館の展示物の多くはコンゴから持ち込んだものであり、ある意味で、ベルギーによる搾取品の展示ともいえよう。
まず最初のフロアでは、コンゴの土着的な偶像や民族品から始まり、その後はジャングルやサバンナに生息する珍しい野生の動植物が等身大のサイズで展示されている。巨大なゾウ、キリン、サイ、カバ、トラ、ライオン、ヘビ、カエル、魚、蝶々など。ほとんどが実物らしく、迫力がある。その他にも、クワガタやカブトムシなどもいる。後半では、コンゴで探検家のリビングストンを発見したヘンリー•スタンレーに関する展示やビデオでの解説、スタンレーが辿ったアフリカ大陸の東西縦断の軌跡を追うことができる。また、現在のコンゴの食料や電力不足の問題、それに対する対応策なども展示されている。
私は、植民地時代の負の歴史がどのように展示されているかに興味があったが、それについては小さな一カ所のブースでのみ扱っていた。スタンレーがどうやってコンゴをベルギーの植民地(皇帝の直轄地)にしていったのか、レオポルト二世がどういう残虐なことをしたのか、1960年代にコンゴが独立する際にベルギーがどういうことをしたのかなどについてはほとんど言及されていない。アフリカ博物館という名の元でコンゴからの略奪品を展示しているからには自国の負の歴史と向き合うのは避けて通れないことだと思うのだが、これでは残念だ。

アフリカ博物館は2012年末でレノベーションのために休館の予定で、次にオープンするのは2015年以降だという。どのように展示が変わるのか、また機会があれば来てみたい。

ベルギーはアフリカ•コンゴ(民主共和国)の宗主国だった。ヨーロッパの国々の中でもとりわけ厳しく残虐な統治を行なったことで知られる。ここの博物館の展示物の多くはコンゴから持ち込んだものであり、ある意味で、ベルギーによる搾取品の展示ともいえよう。
まず最初のフロアでは、コンゴの土着的な偶像や民族品から始まり、その後はジャングルやサバンナに生息する珍しい野生の動植物が等身大のサイズで展示されている。巨大なゾウ、キリン、サイ、カバ、トラ、ライオン、ヘビ、カエル、魚、蝶々など。ほとんどが実物らしく、迫力がある。その他にも、クワガタやカブトムシなどもいる。後半では、コンゴで探検家のリビングストンを発見したヘンリー•スタンレーに関する展示やビデオでの解説、スタンレーが辿ったアフリカ大陸の東西縦断の軌跡を追うことができる。また、現在のコンゴの食料や電力不足の問題、それに対する対応策なども展示されている。
私は、植民地時代の負の歴史がどのように展示されているかに興味があったが、それについては小さな一カ所のブースでのみ扱っていた。スタンレーがどうやってコンゴをベルギーの植民地(皇帝の直轄地)にしていったのか、レオポルト二世がどういう残虐なことをしたのか、1960年代にコンゴが独立する際にベルギーがどういうことをしたのかなどについてはほとんど言及されていない。アフリカ博物館という名の元でコンゴからの略奪品を展示しているからには自国の負の歴史と向き合うのは避けて通れないことだと思うのだが、これでは残念だ。

アフリカ博物館は2012年末でレノベーションのために休館の予定で、次にオープンするのは2015年以降だという。どのように展示が変わるのか、また機会があれば来てみたい。
2012年04月27日
ブリュージュ観光
週末にブリュッセルから電車で1時間程のところにある、ブリュージュ(Brugge)を観光した。
ベルギーで観光するにはどこがいいかと聞くと「もしまだ行っていないならブリュージュがお勧め」という回答が来る。ブリュージュは、中世のヨーロッパの町並みの残る、世界遺産にも指定されている観光地である。町の中心地を囲むように流れる運河、どの場所にいても写真映えする教会、パズルのように入り組んだ道、歴史を感じさせるレンガなど、町全体が上手く調和し合い、まるで野外博物館のように整っている。ベルギーワッフルとを食べながら歩くと、ザ•ヨーロッパの町にいるという感覚を得られるような気がする。




ベルギーで観光するにはどこがいいかと聞くと「もしまだ行っていないならブリュージュがお勧め」という回答が来る。ブリュージュは、中世のヨーロッパの町並みの残る、世界遺産にも指定されている観光地である。町の中心地を囲むように流れる運河、どの場所にいても写真映えする教会、パズルのように入り組んだ道、歴史を感じさせるレンガなど、町全体が上手く調和し合い、まるで野外博物館のように整っている。ベルギーワッフルとを食べながら歩くと、ザ•ヨーロッパの町にいるという感覚を得られるような気がする。




2012年04月26日
カウチサーフィング@Brussel
先週からブリュッセルにいる。去年の12月にも環境党のイベントで来ているので、二回目。修士論文(欧州議会)の作成のための情報収集とインタビューが主な目的である。とはいいつつ、実際のところは、リフレッシュで外に出たかっただけだったりする。チケットも安かったので、せっかくだから行っちゃうかと。
今回は「カウチサーフィング」を通じて、ブリュッセルで泊めてくれる人を見つけたので、宿代が浮いた。カウチサーフィングは会員制のオンラインコミュニティーで、旅行者は現地で泊めてくれる人を探すことができる。会員のプロフィールの紹介、会員同士の評価•レビューが公開されているので、それを見て「旅行者」と「ホスト」は互いのマッチングを行なう。
私は、「10日間の滞在予定で、3日ずつくらいで泊めてくれる人を募集中」という申請をしていた。カウチサーフィングを使うのは初めてだったので(前に友達と一緒に使ったことはあるが)、私のレビューはもちろん空っぽだ。これではいきなり見つけるのは難しいと思っていたが、10日間泊めてくれるというベルギー人から連絡が来た。ルディーという50歳 台のおっちゃんで、アフリカのコンゴ生まれで、(個人)タクシードライバーをしているとある。会員からの評価を見ると、100件以上が記載されており、そのほとんどが好意的なものだった。
何より、タクシーの客にはドイツのシーメンスの重役が多いというのに、ベンツでもなく、アウディーでもなく、トヨタのレクサスを持っているというので親近感を覚えた。早速返事のメールをすると、「君が到着するときは仕事中なので空港に迎えにいけないが、勝手に家に入って休んでいて良い」という返事が来た。家の鍵は、マンションの向かい側にあるカフェに預けておくから、そこでもらうように」とのことだった。
ブリュッセルに到着して指示通りに家に向かった。アパートのある地区は、ブリュッセルでは決して評判の良い場所ではなかったが、彼の部屋はアパートの最上階だった。ドアを開けると、アフリカンな空間が広がっていた。ゾウの彫刻、昆虫の標本、ごっつくて重厚な家具—。部屋は整えられていて、キッチンも清潔そのもの。また、外には30㎡くらいあるバルコニーがある。外に出ると、ブリュッセルの中心地の景色が広がっている。居心地の良い場所だ。

アフリカンな家具とアフリカンな装飾物

バルコニー(晴れているときにビールを飲む)

ブリュッセルの中心地の方向
ルディーは、外はまだ明るい、夕方の18時30分くらいに帰ってきた。50歳台の太っちょのおじさん。やや黒みがかった白髪にメガネをかけている。フランス語のなまりが入った英語だが、明瞭で聞き取りやすい。冷蔵庫からビールを取り出して早速、勧めてくる。Chimayという瓶のビール。やや濃いめのブラウン色をしていて、苦みがなく美味しかった。
「ブリュッセルの天気には失望しただろう?」と、外の雨降りを指していう。さっきまで晴れていたと思ったら、もう雨が降り始めている。ブリュッセルがこんなに雨降りとは思わなかった。ちょうど今が雨期(レイニーシーズン)なのかと聞いてみると、笑いながらこう言う。「ブリュッセルでは一年を通じて天気予報はいらないんだ。だって、どんなに天気がよくても、いつでも雨になることは分かっているから」。
カウチサーフィングのレビュー欄には、「彼のホスピタリティーには感激した」というコメントが並んでいるが、それは本当だった。日本人もびっくりのおもてなしの精神である。無料で泊めてもらっているのに、とこちらが申し訳なく思うほど。毎日、夕食にはコンゴの代表的な料理、パプリカを使った特性スープ、パスタ、ラザニア、ドイツ風ソーセージなど多種多様なメニューでもてなしてくれる。本当に美味しいのだが、量も多い。全部食べないと申し訳ないので、満腹でも頑張って食べる。私と同じくカウチサーフィングで泊まっていたルーマニア人のマリオは図々しくも(あるいは遠慮して)あまり食べないので、結局、私が食べることになる。おそらくこの一週間で2キロくらい太ったと思う。

コンゴのカレーのような料理、コンゴで採れたほうれん草のようなものにパームを使ったカレー粉のようなものと「ピリピリ」というスパイスを混ぜる。

ソーセージ

パプリカのスープ

ルディーとマリオ
==================================
ルディーは去年からカウチサーフィングをスタートし、これまで150人ほどを泊めているという。彼はこれまで泊まった参加者のリストを、月ごとに写真付きでまとめている。国籍と住んでいる地域、性別(ゲイ)などの情報も書き込んでいる。リピーターも多いようで、同じ名前の人が何度も泊まっている。今は、私の写真を貼付けている。私は初めての日本人だったようだ。これまで泊まった人達の色んな話をしてくれる。それを聞くと、世界には変な人達がたくさんいるというのよく分かる。しかも、国籍や地域で差が出てくるからそれもまた面白い。
明日にはメキシコ人の4人グループがやってくるという。「明日はパーティーだ」といってルディーは夕食のメニューを考えている。彼にとって、カウチサーフィングは世界との接点であり、最高の暇つぶしなのだろう。私も将来的にはこういう生活をしたいと思う。
今回は「カウチサーフィング」を通じて、ブリュッセルで泊めてくれる人を見つけたので、宿代が浮いた。カウチサーフィングは会員制のオンラインコミュニティーで、旅行者は現地で泊めてくれる人を探すことができる。会員のプロフィールの紹介、会員同士の評価•レビューが公開されているので、それを見て「旅行者」と「ホスト」は互いのマッチングを行なう。
私は、「10日間の滞在予定で、3日ずつくらいで泊めてくれる人を募集中」という申請をしていた。カウチサーフィングを使うのは初めてだったので(前に友達と一緒に使ったことはあるが)、私のレビューはもちろん空っぽだ。これではいきなり見つけるのは難しいと思っていたが、10日間泊めてくれるというベルギー人から連絡が来た。ルディーという50歳 台のおっちゃんで、アフリカのコンゴ生まれで、(個人)タクシードライバーをしているとある。会員からの評価を見ると、100件以上が記載されており、そのほとんどが好意的なものだった。
何より、タクシーの客にはドイツのシーメンスの重役が多いというのに、ベンツでもなく、アウディーでもなく、トヨタのレクサスを持っているというので親近感を覚えた。早速返事のメールをすると、「君が到着するときは仕事中なので空港に迎えにいけないが、勝手に家に入って休んでいて良い」という返事が来た。家の鍵は、マンションの向かい側にあるカフェに預けておくから、そこでもらうように」とのことだった。
ブリュッセルに到着して指示通りに家に向かった。アパートのある地区は、ブリュッセルでは決して評判の良い場所ではなかったが、彼の部屋はアパートの最上階だった。ドアを開けると、アフリカンな空間が広がっていた。ゾウの彫刻、昆虫の標本、ごっつくて重厚な家具—。部屋は整えられていて、キッチンも清潔そのもの。また、外には30㎡くらいあるバルコニーがある。外に出ると、ブリュッセルの中心地の景色が広がっている。居心地の良い場所だ。

アフリカンな家具とアフリカンな装飾物

バルコニー(晴れているときにビールを飲む)

ブリュッセルの中心地の方向
ルディーは、外はまだ明るい、夕方の18時30分くらいに帰ってきた。50歳台の太っちょのおじさん。やや黒みがかった白髪にメガネをかけている。フランス語のなまりが入った英語だが、明瞭で聞き取りやすい。冷蔵庫からビールを取り出して早速、勧めてくる。Chimayという瓶のビール。やや濃いめのブラウン色をしていて、苦みがなく美味しかった。
「ブリュッセルの天気には失望しただろう?」と、外の雨降りを指していう。さっきまで晴れていたと思ったら、もう雨が降り始めている。ブリュッセルがこんなに雨降りとは思わなかった。ちょうど今が雨期(レイニーシーズン)なのかと聞いてみると、笑いながらこう言う。「ブリュッセルでは一年を通じて天気予報はいらないんだ。だって、どんなに天気がよくても、いつでも雨になることは分かっているから」。
カウチサーフィングのレビュー欄には、「彼のホスピタリティーには感激した」というコメントが並んでいるが、それは本当だった。日本人もびっくりのおもてなしの精神である。無料で泊めてもらっているのに、とこちらが申し訳なく思うほど。毎日、夕食にはコンゴの代表的な料理、パプリカを使った特性スープ、パスタ、ラザニア、ドイツ風ソーセージなど多種多様なメニューでもてなしてくれる。本当に美味しいのだが、量も多い。全部食べないと申し訳ないので、満腹でも頑張って食べる。私と同じくカウチサーフィングで泊まっていたルーマニア人のマリオは図々しくも(あるいは遠慮して)あまり食べないので、結局、私が食べることになる。おそらくこの一週間で2キロくらい太ったと思う。

コンゴのカレーのような料理、コンゴで採れたほうれん草のようなものにパームを使ったカレー粉のようなものと「ピリピリ」というスパイスを混ぜる。

ソーセージ

パプリカのスープ

ルディーとマリオ
==================================
ルディーは去年からカウチサーフィングをスタートし、これまで150人ほどを泊めているという。彼はこれまで泊まった参加者のリストを、月ごとに写真付きでまとめている。国籍と住んでいる地域、性別(ゲイ)などの情報も書き込んでいる。リピーターも多いようで、同じ名前の人が何度も泊まっている。今は、私の写真を貼付けている。私は初めての日本人だったようだ。これまで泊まった人達の色んな話をしてくれる。それを聞くと、世界には変な人達がたくさんいるというのよく分かる。しかも、国籍や地域で差が出てくるからそれもまた面白い。
明日にはメキシコ人の4人グループがやってくるという。「明日はパーティーだ」といってルディーは夕食のメニューを考えている。彼にとって、カウチサーフィングは世界との接点であり、最高の暇つぶしなのだろう。私も将来的にはこういう生活をしたいと思う。
2012年03月31日
スウェーデンのレーザーゲーム
スウェーデンには「レーザードーム(Raserdome)」というインドア•サバイバルゲームの娯楽施設がある。レーザーガンで、対戦相手を打った回数が多い(あるいは打たれた回数が少ない)チームが勝つというゲームである。スウェーデンでは各主要都市で商業展開していて、ストックホルムには二つの店舗がある。子供から大人まで人気の娯楽になっている。
私はペイントボールという野外のサバイバルゲームはウプサラでやったことがあるが、レーザードームは名前すら知らなかった。ペイントボールで打たれると、打たれたところに色がつき、手や顔に当たれば激痛をもたらす。レーザードームはもっと簡単に安全に楽しめる。補習校の生徒達が面白いと勧めるので、卒業式の後でみんなに連れていってもらった。
補習校から5分程歩いたところ、ロドマンスガータン駅のすぐそばにレーザードームの店舗がある。市立図書館の正面口の向いの通りのわきにある。地下の階段を降りていくと、受付がある。その後ろに、40m×40mほどの薄暗い対戦フィールドが広がっている。



(カメラを持ち込み忘れて写真が取れなかった。これはネットの写真!)
レーザードームの値段は2ゲーム(15分×2)で120kr (約1400円)。フィールドの手前の控え室に入り、まず上半身に専用のベストを装着したあと、レーザーガンを手にする。ベストとレーザーガンの表面にはそれぞれ装置が付いており、レーザーの光に反応するようになっている。身体を打たれると、6秒間、レーザーガンを打たれると、3秒間の停止状態に陥る。停止している間は、銃を打つことはできず、また敵から打たれてもカウントされない。ちなみに、安全のためにドーム内を走ることは禁止されている。
僕らは黄色チームで11人。他には赤チームが10人、青チームには10人程がいた。
最初、目が慣れるまではドームの中は薄暗く、よく見えない。と、すぐに敵の襲撃を受けて、あっという間に打たれてしまった。レーザーで打たれると、「ヴゥーン」という音が鳴り、ベストが光る。6秒間の停止状態の間に後方へと逃げて、再び臨戦態勢を整える。気を取り直し、遠くからレーザーを連射していたら、チームメイトを打ってしまっていた。
赤チームは二階に陣地を確保し、動こうとしない。こちらが近づくと、二階の壁の隙間からレーザーが飛んでくる。こうなると攻める方が圧倒的に不利になる。赤チームと青チームに挟まれて、とにかくボロボロに打たれて、何もできないまま15分が終わった。控え室に戻り、結果を見てみると、私たちのチームは二位だった。個人の成績も表示されている。それによれば、私は最下位から二番目だった。たぶん50回以上殺されていた!
二試合目は二階に陣地を確保し、チームプレイで動くことにした。主な対戦相手は小学生の小さな子供達だった。スタート直後、彼らは一試合目の私のように要領を得ずに丸腰で歩き回っている。ごめんと思いつつも子供達の背中を追いかけて次から次へと打ちまくり、大量のポイントをゲットした。二試合目が終わり、結果を見ると、うちのチームが一位で、個人の成績は私が二位だった。ちなみに個人部の一位はうちの生徒の男子だった。
レーザーゲームは、勝ち負けに拘らなければ、ストレス発散と息抜きには格好の遊びだと思う。スウェーデンにきたらぜひレーザードームへどうぞ(笑)。
私はペイントボールという野外のサバイバルゲームはウプサラでやったことがあるが、レーザードームは名前すら知らなかった。ペイントボールで打たれると、打たれたところに色がつき、手や顔に当たれば激痛をもたらす。レーザードームはもっと簡単に安全に楽しめる。補習校の生徒達が面白いと勧めるので、卒業式の後でみんなに連れていってもらった。
補習校から5分程歩いたところ、ロドマンスガータン駅のすぐそばにレーザードームの店舗がある。市立図書館の正面口の向いの通りのわきにある。地下の階段を降りていくと、受付がある。その後ろに、40m×40mほどの薄暗い対戦フィールドが広がっている。



(カメラを持ち込み忘れて写真が取れなかった。これはネットの写真!)
レーザードームの値段は2ゲーム(15分×2)で120kr (約1400円)。フィールドの手前の控え室に入り、まず上半身に専用のベストを装着したあと、レーザーガンを手にする。ベストとレーザーガンの表面にはそれぞれ装置が付いており、レーザーの光に反応するようになっている。身体を打たれると、6秒間、レーザーガンを打たれると、3秒間の停止状態に陥る。停止している間は、銃を打つことはできず、また敵から打たれてもカウントされない。ちなみに、安全のためにドーム内を走ることは禁止されている。
僕らは黄色チームで11人。他には赤チームが10人、青チームには10人程がいた。
最初、目が慣れるまではドームの中は薄暗く、よく見えない。と、すぐに敵の襲撃を受けて、あっという間に打たれてしまった。レーザーで打たれると、「ヴゥーン」という音が鳴り、ベストが光る。6秒間の停止状態の間に後方へと逃げて、再び臨戦態勢を整える。気を取り直し、遠くからレーザーを連射していたら、チームメイトを打ってしまっていた。
赤チームは二階に陣地を確保し、動こうとしない。こちらが近づくと、二階の壁の隙間からレーザーが飛んでくる。こうなると攻める方が圧倒的に不利になる。赤チームと青チームに挟まれて、とにかくボロボロに打たれて、何もできないまま15分が終わった。控え室に戻り、結果を見てみると、私たちのチームは二位だった。個人の成績も表示されている。それによれば、私は最下位から二番目だった。たぶん50回以上殺されていた!
二試合目は二階に陣地を確保し、チームプレイで動くことにした。主な対戦相手は小学生の小さな子供達だった。スタート直後、彼らは一試合目の私のように要領を得ずに丸腰で歩き回っている。ごめんと思いつつも子供達の背中を追いかけて次から次へと打ちまくり、大量のポイントをゲットした。二試合目が終わり、結果を見ると、うちのチームが一位で、個人の成績は私が二位だった。ちなみに個人部の一位はうちの生徒の男子だった。
レーザーゲームは、勝ち負けに拘らなければ、ストレス発散と息抜きには格好の遊びだと思う。スウェーデンにきたらぜひレーザードームへどうぞ(笑)。
2012年03月19日
センセイ、さようなら
日本人補習学校というものがストックホルムにある。海外にいる日本人の子供(駐在員の子供や現地で育ったハーフの子供)を対象に、日本の学習指導要領に沿って、週に一度、小中の国語、数学、社会などの指導を行なっている。私は去年の4月から中学三年生の担任として働いていた。担当の科目は、国語、公民、数学の三つ。時が過ぎるのは早いもので、あれから一年、昨日、卒業式を迎えた。

最初、声をかけてもらったときは、正直、躊躇した。毎週の土曜日は空けておかないといけないし、授業の準備に時間が取られるからだ。加えて、授業だけでなく、「音読会」「学習展覧会」「作文」などのイベントや「運動会」「紙飛行機大会」「餅つき」などの行事も行なっている。毎週、学級通信を作成するにも時間が費やされる。
でも、今はやって良かったと心から思っている。教える内容、教え方、話しの切り出し方、議論を盛り上げるやり方などを試行錯誤しながら学べたし、「日本の小説が好きになった」とか「日本の流行などを紹介してくれて面白かった」という生徒もいて、やりがいを感じた。
人の役に立っているという感覚は、生きる上では不可欠。「先生のおかげです」といわれると、たとえお世辞であろうと、胸が熱くなる。この一年間は、私が「センセイ」になった最初の年として忘れられない年になるだろう。
もはや生徒の一部と化しているセンセイ。笑。
=====================================
ただ、私が、生徒の夢の実現を目標にして生きるのはまだ早いと思っている。「センセイ」と呼ばれるよりも、まだまだ「生徒」として自分の夢を追いかけたい。若い世代に未来を託すよりも、まだ自分自身で未来を作っていきたい。若い世代の成長するペースに負けないように、自分を磨いていかないといけない。この卒業式を期にして、もう一度「生徒」の立ち位置に戻る次第である。明日から心機一転、死んだ気になって精進していきたい。
生徒よ、さようなら、センセイ、さようなら。

最初、声をかけてもらったときは、正直、躊躇した。毎週の土曜日は空けておかないといけないし、授業の準備に時間が取られるからだ。加えて、授業だけでなく、「音読会」「学習展覧会」「作文」などのイベントや「運動会」「紙飛行機大会」「餅つき」などの行事も行なっている。毎週、学級通信を作成するにも時間が費やされる。
でも、今はやって良かったと心から思っている。教える内容、教え方、話しの切り出し方、議論を盛り上げるやり方などを試行錯誤しながら学べたし、「日本の小説が好きになった」とか「日本の流行などを紹介してくれて面白かった」という生徒もいて、やりがいを感じた。
人の役に立っているという感覚は、生きる上では不可欠。「先生のおかげです」といわれると、たとえお世辞であろうと、胸が熱くなる。この一年間は、私が「センセイ」になった最初の年として忘れられない年になるだろう。
もはや生徒の一部と化しているセンセイ。笑。
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ただ、私が、生徒の夢の実現を目標にして生きるのはまだ早いと思っている。「センセイ」と呼ばれるよりも、まだまだ「生徒」として自分の夢を追いかけたい。若い世代に未来を託すよりも、まだ自分自身で未来を作っていきたい。若い世代の成長するペースに負けないように、自分を磨いていかないといけない。この卒業式を期にして、もう一度「生徒」の立ち位置に戻る次第である。明日から心機一転、死んだ気になって精進していきたい。
生徒よ、さようなら、センセイ、さようなら。
2012年02月19日
カリスマ環境党の党首(?)
今週火曜日、環境党の党首のグスタフ•フリードリンが、ウプサラにやってきた。
フリードリンは、11歳から環境党に関わり、当時最年少の19歳で国会議員になった。その後、一期で議員を辞めた後、ジャーナリストとして活躍。そして、2010年の選挙で政治の世界に戻り、昨年5月には、オーサ•ロムソン(女性)とともに、スプロークパーソン(党首≒代弁者)となった。今も28歳で、若者だけでなく、党派を問わず、多くの人達から支持を集めている。まさに環境党のカリスマ的存在(←何か色あせたような表現、笑)。
今回は、「学校教育」というテーマで、カテドラルスクールという伝統的な高校で、昼間に講演会を行った。講演会は自由参加だが、広々とした講堂に、150人くらいの生徒が集まった。大きな拍手で迎えられて、フリードリンが入ってきた。



フリードリンは、スコーネ(南部)の出身なので、発音にかなりの癖がある。そこにまた愛嬌があるらしいが、いかんせん、私には聞きとりづらくてたまらない。彼は、最初、与太話や軽いジョークを飛ばし、会場から笑いを取っていた。内容はわからなかったが、生徒達にはウケていた。会場の雰囲気が温まってくると、本題の学校教育に入っていった。
スウェーデンでは、特に初等中高の教育に大きな問題を抱えている。ここでは詳述しないが、すべての学力科目についてスコアが落ちている。学校間の学力差も広がっている。教育環境の整備も十分ではない。その上で、彼は次のように強く訴える。
「今、学校で勉強している君たちこそ、今の学校について一番よく知っているはずだ。君たちこそ、具体的に何が問題で、何を変えていかないといけないかを一番よく知っているはずだ。君たちが、学校を良くする原動力にならねばならない」。
ここらへんの若者を引き込んでいくやり方は、彼ならではだろう。25分ほど基調講演をしたところで、質問タイムに移った。最初は様子を見ていた生徒たちだが、一人が質問をすると、次々に手が挙がり、止まらなくなった。ある子は、「今まで環境党は、労働時間を週に36時間に短縮することを訴えていたが、あなたはこれに否定的ですね。その理由を説明してください」という具体的なものまであった。エキサイティングなやり取りになった。

環境党青年部のテーブル。講演会の後で、興味を持った生徒に対して活動への参加を呼びかけた。あれだけ熱気のあった講演会の後なのに、積極的にやってくる生徒が少なくて、ちょっとがっかりした。こっちの青年部のメンバーも、ビラ配りに及び腰で、慣れていない。政党の仕組みがしっかりし過ぎているためか、新規メンバーの獲得に積極性が感じられない。もっと気合いを出せば、もっとメンバーが入ってくるのに、もったいない。
夜は、ウプサラ大学の校舎で、もう一度、フリードリンの講演会。こっちの方は、より専門的で、具体的な政策について話す。会場はほぼ満員で、党派を問わず、多くの学校関係者で埋め尽くされていた。質問タイムでは、単なる質問というより、オーディエンスが提案を出して彼と議論をする感じ。学生からのよく分からない質問にも、グスタフは、上手く趣旨を拾い、答えていた。こういうコミュ力の高さと低姿勢なところも、人気の秘訣だろう。
講演会の後、フリードリンと話すことができた。ウプサラ環境党と、日本人のグループとのミーティングをしたことなどを話した。最後に「日本に来ないか」といったら、「考えとく」とのことだった。ちゃんとプッシュすれば、来そう、かな。
フリードリンと記念写真。カメラがぶれてしまった(泣)。
フリードリンは、11歳から環境党に関わり、当時最年少の19歳で国会議員になった。その後、一期で議員を辞めた後、ジャーナリストとして活躍。そして、2010年の選挙で政治の世界に戻り、昨年5月には、オーサ•ロムソン(女性)とともに、スプロークパーソン(党首≒代弁者)となった。今も28歳で、若者だけでなく、党派を問わず、多くの人達から支持を集めている。まさに環境党のカリスマ的存在(←何か色あせたような表現、笑)。
今回は、「学校教育」というテーマで、カテドラルスクールという伝統的な高校で、昼間に講演会を行った。講演会は自由参加だが、広々とした講堂に、150人くらいの生徒が集まった。大きな拍手で迎えられて、フリードリンが入ってきた。



フリードリンは、スコーネ(南部)の出身なので、発音にかなりの癖がある。そこにまた愛嬌があるらしいが、いかんせん、私には聞きとりづらくてたまらない。彼は、最初、与太話や軽いジョークを飛ばし、会場から笑いを取っていた。内容はわからなかったが、生徒達にはウケていた。会場の雰囲気が温まってくると、本題の学校教育に入っていった。
スウェーデンでは、特に初等中高の教育に大きな問題を抱えている。ここでは詳述しないが、すべての学力科目についてスコアが落ちている。学校間の学力差も広がっている。教育環境の整備も十分ではない。その上で、彼は次のように強く訴える。
「今、学校で勉強している君たちこそ、今の学校について一番よく知っているはずだ。君たちこそ、具体的に何が問題で、何を変えていかないといけないかを一番よく知っているはずだ。君たちが、学校を良くする原動力にならねばならない」。
ここらへんの若者を引き込んでいくやり方は、彼ならではだろう。25分ほど基調講演をしたところで、質問タイムに移った。最初は様子を見ていた生徒たちだが、一人が質問をすると、次々に手が挙がり、止まらなくなった。ある子は、「今まで環境党は、労働時間を週に36時間に短縮することを訴えていたが、あなたはこれに否定的ですね。その理由を説明してください」という具体的なものまであった。エキサイティングなやり取りになった。

環境党青年部のテーブル。講演会の後で、興味を持った生徒に対して活動への参加を呼びかけた。あれだけ熱気のあった講演会の後なのに、積極的にやってくる生徒が少なくて、ちょっとがっかりした。こっちの青年部のメンバーも、ビラ配りに及び腰で、慣れていない。政党の仕組みがしっかりし過ぎているためか、新規メンバーの獲得に積極性が感じられない。もっと気合いを出せば、もっとメンバーが入ってくるのに、もったいない。
夜は、ウプサラ大学の校舎で、もう一度、フリードリンの講演会。こっちの方は、より専門的で、具体的な政策について話す。会場はほぼ満員で、党派を問わず、多くの学校関係者で埋め尽くされていた。質問タイムでは、単なる質問というより、オーディエンスが提案を出して彼と議論をする感じ。学生からのよく分からない質問にも、グスタフは、上手く趣旨を拾い、答えていた。こういうコミュ力の高さと低姿勢なところも、人気の秘訣だろう。
講演会の後、フリードリンと話すことができた。ウプサラ環境党と、日本人のグループとのミーティングをしたことなどを話した。最後に「日本に来ないか」といったら、「考えとく」とのことだった。ちゃんとプッシュすれば、来そう、かな。
フリードリンと記念写真。カメラがぶれてしまった(泣)。
2012年02月17日
エネルギーと市民2
ウプサラでの二日目の夜、ツアー参加者と、ウプサラ市の環境党の執行部/学生部でミーティングを行なった。ウプサラ市議会の方もたくさん参加してくれた。ミーティングでは、原発事故の後、福島や近隣の状況、また、日本の国民投票の動きについて参加者から話してもらった。
ツアー参加者の一人が、福島のいわき市の出身の方だったので、福島事故の経験について語ってもらった。地元の復興活動に参加し、福島をエコ先進都市として再生したいという思いを持っている方で、心の底から出てくる言葉に力があり、私も聞き入ってしまった。

これまでのエコツアーでは、スウェーデンに来てスウェーデンの取り組みを学ぶのが目的だったが、原発事故の後は、福島や日本で何が起こっているのか、日本側から伝えるということも必要になっている。海外の人にとっては、福島の原発のことがニュースに出ることも減り、あの後、何が起こっているのか、みんなよく知らない。あるスウェーデン人の参加者は話を聞いた後、「何万人がいきなり避難させられてずっと帰れないなんて」と驚いていた。
原発事故が、地元や近隣の町に、人々にどういう影響を与えたのか、将来にどういう影響が起こりうるのか(あるいは起こりえないのか)、いかに原発というものが危険なものだったのかー。私たちは、もっと世界に向けて発信していく義務があるだろう。福島で現実に起こってしまったことは、他の場所でも他の国でも起こりうることである。私は、日本は脱原発の方向を示し、フクシマの悲劇を繰り返さぬよう世界に訴えていくべきだと思う。
(ちなみに、先日、スウェーデンの原発自治体(オストハンマー)の政治家が「原発は200%安全」とTVのインタビューで言っていたが、さすがに笑った。スウェーデンの原発はヨーロッパのなかでも、事故やミスが多く、稼働率は最低の状態。今も10機のうち4つしか動いていない。この自治体の原発だって、2006年に事故を起こしている。フクシマ以後も、こんなプロパガンダを笑っていえるのだから、感覚が麻痺しているとしか思えない)。

今回の会合を通じて、スウェーデンの環境党(みどりの党)と、将来的にできる(はずの)日本の「みどりの党」がより協力していければうれしい。今回のツアーで知り合った方々ともネットワークができたし、都民投票/国民投票の動きもあるし、日本に来たいという青年部/学生部のメンバーもいるし、そうなったら、日本で色んなイベントが出来ると思う。

このツアーについて、ラジオや新聞、テレビでも報道されたようだ。テレビのニュースはこちら。上の地元新聞の見出しは「日本人、ウメオで、オルタナティブエネルギーについて学ぶ」。スウェーデン人から学ぶだけでなく、こちらからスウェーデン人にもインスピレーションを与えたはず。お互いに素晴らしいツアーになったと思う。
ツアー参加者の一人が、福島のいわき市の出身の方だったので、福島事故の経験について語ってもらった。地元の復興活動に参加し、福島をエコ先進都市として再生したいという思いを持っている方で、心の底から出てくる言葉に力があり、私も聞き入ってしまった。

これまでのエコツアーでは、スウェーデンに来てスウェーデンの取り組みを学ぶのが目的だったが、原発事故の後は、福島や日本で何が起こっているのか、日本側から伝えるということも必要になっている。海外の人にとっては、福島の原発のことがニュースに出ることも減り、あの後、何が起こっているのか、みんなよく知らない。あるスウェーデン人の参加者は話を聞いた後、「何万人がいきなり避難させられてずっと帰れないなんて」と驚いていた。
原発事故が、地元や近隣の町に、人々にどういう影響を与えたのか、将来にどういう影響が起こりうるのか(あるいは起こりえないのか)、いかに原発というものが危険なものだったのかー。私たちは、もっと世界に向けて発信していく義務があるだろう。福島で現実に起こってしまったことは、他の場所でも他の国でも起こりうることである。私は、日本は脱原発の方向を示し、フクシマの悲劇を繰り返さぬよう世界に訴えていくべきだと思う。
(ちなみに、先日、スウェーデンの原発自治体(オストハンマー)の政治家が「原発は200%安全」とTVのインタビューで言っていたが、さすがに笑った。スウェーデンの原発はヨーロッパのなかでも、事故やミスが多く、稼働率は最低の状態。今も10機のうち4つしか動いていない。この自治体の原発だって、2006年に事故を起こしている。フクシマ以後も、こんなプロパガンダを笑っていえるのだから、感覚が麻痺しているとしか思えない)。

今回の会合を通じて、スウェーデンの環境党(みどりの党)と、将来的にできる(はずの)日本の「みどりの党」がより協力していければうれしい。今回のツアーで知り合った方々ともネットワークができたし、都民投票/国民投票の動きもあるし、日本に来たいという青年部/学生部のメンバーもいるし、そうなったら、日本で色んなイベントが出来ると思う。

このツアーについて、ラジオや新聞、テレビでも報道されたようだ。テレビのニュースはこちら。上の地元新聞の見出しは「日本人、ウメオで、オルタナティブエネルギーについて学ぶ」。スウェーデン人から学ぶだけでなく、こちらからスウェーデン人にもインスピレーションを与えたはず。お互いに素晴らしいツアーになったと思う。
2012年02月16日
エネルギーと市民1
先週、リボーン(エコツーリズム)の壱岐さんとレーナさんが、エコツアーで、10人ほど日本人の参加者を引き連れてやってきた。ツアー名は、「エネルギーと市民」。今回のツアーでは、各自治体の環境やエネルギーに関する取り組み(原発処分場、バイオガス工場、風力施設、自然学校、保育園の見学)や、人々の社会との関わり(地元の市民や高校生や大学生、政治家との交流)などがテーマ。
(こちらから参加者のレポートも見ることができます)
ストックホルム、ウプサラ、ウメオの三カ所を、8日間で回るというスケジュール。ウプサラーウメオは、寝台列車。私はウプサラでお手伝い(?)として参加させてもらった。
今回の参加者の中には、市議会議員、環境NPOに関わっている方、エンジニアの方、また福島出身の方で地元でエコタウンを作りたいという方などがいた。みなさんそれぞれで経験があり、何より奇心旺盛。こういう楽しい出会いがあるのも、エコツアーならではだろう。
ツアー参加者は、ウプサラで、約二日間過ごした。ウプサラの近郊のオストハンマー市にある原発最終処分場(SKB)を見学したり、自治体の人に話を聞いた(私は前に見学したことがあるので今回は参加していない)。また、ウプサラのバイオガス施設(Uppsala Vatten)の見学、自然学校の体験、ウプサラ市の環境党の政治家/学生部とのミーティングなども行なった。

ウプサラのバイオガス施設では、有機のゴミを集め、発酵させ、バイオガスに変えている。2010年のデータでは、7 540トンの有機ゴミのうち、1260トンを産業界から、6280トンを家庭やレストラン、飲食店から集めているという。

まず袋と中身のゴミを分けていく。

さらに細かく分解し処理していく。
これらのゴミを一ヶ月ほど発酵させた上で、バイオガスと液化肥料を作っている。バイオガスは、8190 MWhで、このうち83%が市内のバス(60台か90台?)、13%が施設の室内暖房に使われている。また、16100トンの液化肥料は、近郊の20人ほどの農家に売られている。
現在、液化肥料は、残念ながら「有機農法」として認められていない。スウェーデンの認証機関のKRAVは、有機ゴミを処理するときに金属物質が入り込む可能性を排除できないと言っている。一方で、プレゼンしてくれた担当の人は、細かい分解の作業をしているから問題ないという。これから分解技術が進歩すれば、有機として認められるかもしれない(?)。
ゴミを集め、バイオガスに変換することで、ゴミから出る温室効果ガス(メタン)を削減でき、自治体の自動車•バスに使う化石燃料も減らし、農家の肥料にも使える。まさに循環型の社会だ。今は規模は小さくても、スウェーデンの自治体ごとに取り組みが進んでおり、バイオガスの生産量も右肩上がりで増えている。これからどんどんスピードアップしていくだろう。
さて、日本はどうだろうか。
今回のツアー参加者のエンジニアの方によれば、日本でもやろうと思えば、技術は十分過ぎるくらいあるという。あとは「人々の意思」と「ヨコの協力」である。「水道局」、「交通局(ゴミ)」、「ガス会社」などが縦割りではなく、お互いに協力すれば、すぐに出来るだろう。むしろ、小さい自治体ほど、初期投資と意思があれば、すぐに出来ると思う。(ちなみに、ウプサラ市の人口は大体20万人だ)。
=======================================
バイオガス施設のあとはウプサラ郊外の自然学校へ。

この日は、中学二年生が氷の彫刻を作成。参加者も挑戦することに。
どーも君?

氷の中に飛び込む生徒。アイスピックのような道具を使って地上によじ登る訓練。

冬のバーベキューも美味しい!
(こちらから参加者のレポートも見ることができます)
ストックホルム、ウプサラ、ウメオの三カ所を、8日間で回るというスケジュール。ウプサラーウメオは、寝台列車。私はウプサラでお手伝い(?)として参加させてもらった。
今回の参加者の中には、市議会議員、環境NPOに関わっている方、エンジニアの方、また福島出身の方で地元でエコタウンを作りたいという方などがいた。みなさんそれぞれで経験があり、何より奇心旺盛。こういう楽しい出会いがあるのも、エコツアーならではだろう。
ツアー参加者は、ウプサラで、約二日間過ごした。ウプサラの近郊のオストハンマー市にある原発最終処分場(SKB)を見学したり、自治体の人に話を聞いた(私は前に見学したことがあるので今回は参加していない)。また、ウプサラのバイオガス施設(Uppsala Vatten)の見学、自然学校の体験、ウプサラ市の環境党の政治家/学生部とのミーティングなども行なった。

ウプサラのバイオガス施設では、有機のゴミを集め、発酵させ、バイオガスに変えている。2010年のデータでは、7 540トンの有機ゴミのうち、1260トンを産業界から、6280トンを家庭やレストラン、飲食店から集めているという。

まず袋と中身のゴミを分けていく。

さらに細かく分解し処理していく。
これらのゴミを一ヶ月ほど発酵させた上で、バイオガスと液化肥料を作っている。バイオガスは、8190 MWhで、このうち83%が市内のバス(60台か90台?)、13%が施設の室内暖房に使われている。また、16100トンの液化肥料は、近郊の20人ほどの農家に売られている。
現在、液化肥料は、残念ながら「有機農法」として認められていない。スウェーデンの認証機関のKRAVは、有機ゴミを処理するときに金属物質が入り込む可能性を排除できないと言っている。一方で、プレゼンしてくれた担当の人は、細かい分解の作業をしているから問題ないという。これから分解技術が進歩すれば、有機として認められるかもしれない(?)。
ゴミを集め、バイオガスに変換することで、ゴミから出る温室効果ガス(メタン)を削減でき、自治体の自動車•バスに使う化石燃料も減らし、農家の肥料にも使える。まさに循環型の社会だ。今は規模は小さくても、スウェーデンの自治体ごとに取り組みが進んでおり、バイオガスの生産量も右肩上がりで増えている。これからどんどんスピードアップしていくだろう。
さて、日本はどうだろうか。
今回のツアー参加者のエンジニアの方によれば、日本でもやろうと思えば、技術は十分過ぎるくらいあるという。あとは「人々の意思」と「ヨコの協力」である。「水道局」、「交通局(ゴミ)」、「ガス会社」などが縦割りではなく、お互いに協力すれば、すぐに出来るだろう。むしろ、小さい自治体ほど、初期投資と意思があれば、すぐに出来ると思う。(ちなみに、ウプサラ市の人口は大体20万人だ)。
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バイオガス施設のあとはウプサラ郊外の自然学校へ。

この日は、中学二年生が氷の彫刻を作成。参加者も挑戦することに。
どーも君?

氷の中に飛び込む生徒。アイスピックのような道具を使って地上によじ登る訓練。

冬のバーベキューも美味しい!
2012年02月03日
引っ越しとセムラ
そういえば、また引っ越しをした。これでウプサラに来てから、通算で7回目である。住宅の数が増える需要に追いついていないため、アパートが見つからない。友達の部屋を又借りする形で点々とさすらっている。住めば住むほど荷物が膨らんでくるので、引っ越しの移動が大変になり、めんどくさい。
今は、日本人の研究者の方が帰国している間の二ヶ月間、アパートを貸してもらっている。スウェーデン人のヤコブとともに、それぞれ一つずつ部屋を持ち、キッチン、バスルーム、リビングルームは共有していた。だが、ここに移ってきて一週間もしないうちに、ヤコブが仕事を見つけたといって、スウェーデン人のビクトーを代わりに連れてきた。きちんとしてそうだったから、まあいいかと思っていたが、一週間もしないある日、部屋がもぬけの殻になっていた。ドアの前には鍵が置いてあるだけで、置き手紙もないし、連絡もなかった。
さすがにこれには飽きれてしまった。礼儀がないというか、他人への配慮というか、倫理観の欠如というか、とにかくがっかりしている。しかも、ウプサラで部屋を探している人はたくさんいるなかで、契約を交わして部屋を取ったんだから、ちゃんと約束を守れよと。こういう場合は、ヤコブが責任を取るべきだろうが、そういう連帯責任という概念もスウェーデンではないだろうな。ただ、私の部屋を探している友人が来週から引っ越してくることになったので、私としては逆に良かったわけだが、こういう外人の感覚はよくわからないな。まあ、あんまりわかりたくもないし。

私の部屋

リビングのテーブルとセムラ
この時期は、スウェーデンの伝統で、このお菓子(セムラ)を食べることになっている。クリスマス明けからイースターの間にしか売っていない。ホイップクリームは甘くなくて、その下のパン生地の間にアーモンドクリームが塗られている。けっこう好きでよく食べている。
今は、日本人の研究者の方が帰国している間の二ヶ月間、アパートを貸してもらっている。スウェーデン人のヤコブとともに、それぞれ一つずつ部屋を持ち、キッチン、バスルーム、リビングルームは共有していた。だが、ここに移ってきて一週間もしないうちに、ヤコブが仕事を見つけたといって、スウェーデン人のビクトーを代わりに連れてきた。きちんとしてそうだったから、まあいいかと思っていたが、一週間もしないある日、部屋がもぬけの殻になっていた。ドアの前には鍵が置いてあるだけで、置き手紙もないし、連絡もなかった。
さすがにこれには飽きれてしまった。礼儀がないというか、他人への配慮というか、倫理観の欠如というか、とにかくがっかりしている。しかも、ウプサラで部屋を探している人はたくさんいるなかで、契約を交わして部屋を取ったんだから、ちゃんと約束を守れよと。こういう場合は、ヤコブが責任を取るべきだろうが、そういう連帯責任という概念もスウェーデンではないだろうな。ただ、私の部屋を探している友人が来週から引っ越してくることになったので、私としては逆に良かったわけだが、こういう外人の感覚はよくわからないな。まあ、あんまりわかりたくもないし。

私の部屋
リビングのテーブルとセムラ
この時期は、スウェーデンの伝統で、このお菓子(セムラ)を食べることになっている。クリスマス明けからイースターの間にしか売っていない。ホイップクリームは甘くなくて、その下のパン生地の間にアーモンドクリームが塗られている。けっこう好きでよく食べている。
2012年02月02日
寒さが染みる2月
1月の下旬から、一段と寒さが厳しくなってきた。自転車に乗っていると、顔が痛くて仕方ない。最近はマスクやバンダナを使って凌いでいるが、メガネをしていると、自分の息で曇ってしまって前が見えなくなる。また、マスクをしていると「何だあいつ」みたいにジロジロと凝視される。手袋をしていても、手がジワジワと凍えてくるのが分かる。とにかく寒い。
こういうときにはホッカイロが役に立つ。人生で初めてホッカイロを目にしたスウェーデン人の友達が「こんないいものが、どうしてスウェーデンにないんだ」と驚いていた。たしかに、こっちで売れば儲かるかもしれない、と思う。なぜスウェーデンで売っていないのか、EUの規制の対象になるような悪い物質が入っていないかと、逆に心配になる。
こういうときにはホッカイロが役に立つ。人生で初めてホッカイロを目にしたスウェーデン人の友達が「こんないいものが、どうしてスウェーデンにないんだ」と驚いていた。たしかに、こっちで売れば儲かるかもしれない、と思う。なぜスウェーデンで売っていないのか、EUの規制の対象になるような悪い物質が入っていないかと、逆に心配になる。
2012年01月09日
スウェーデン視察旅行
エコツーリズムの旅行会社リボーン(と友人のレーナさん)が、2012年の2月4日~11日にスウェーデンの視察旅行を企画しています。現地に来て空気に触れる、実際にスウェーデン人と意見交換をするなど非常に有意義な中身です。ウプサラも日程に入っているので、私もボランティアとして協力できたらと思っています。まだ参加枠が空いているらしいので、もしご興味があればチェックしてみてください!
以下、レーナさんのメールです。
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日本は福島原発の事故を経験して多くの人々が新たに「原発」というものを考えるようになりました。スウェーデンは1980年に原発を問う国民投票を行ったりするなど、市民がエネルギ-政策に深く関わってきた国です。それなのに、3.11の後にドイツと違って市民は案外静かです。市民はどのように考えているのでしょうか。また、使用済み燃料の最終処分場予定地も決まりそうです。その自治体はどのような考え方で受け入れようとしているのでしょうか。
スウェーデンは暖房エネルギ-が死活問題です。冬は外が寒いけれど空気は新鮮、室内は暖かく居心地がよいです。冬はスウェーデンの人々のエネルギ-に対する考え方を一番よく理解できる季節です。
スウェーデンの最近の原発政策は少し曖昧になったけれど、再生可能エネルギ-の導入は一生懸命です。子ども達に希望や生きる力を与えようと、心を込めた教育も行っています。
私が考えるツアーは、ただ受け身で見学するのではなく、自分も発言したり、ディスカッションに参加したりするチャンスがあり、スウェーデンの市民そしてツアーの参加者ともよく交流し、各方面から多くのインスピレーションをもらうツアーです。刺激が力となって、皆が持続可能な日本のイメージを描ける気持ちになれればと願っています。ひょっとすると皆さんがスウェーデンの人々にインスピレーションを与える機会にもなるかもしれません。
「未来に希望のもてるエネルギー政策を求めて!持続可能な社会を目指すスウェーデン市民と出会う旅」
2012年2月4日(土)~11日(土)8日間
スウェーデン(ストックホルム、ウプサラ、ウーメオなど)
詳細はこちら:
http://reborn-japan.com/overseas/5372
転送は大歓迎です。
Lena
以下、レーナさんのメールです。
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日本は福島原発の事故を経験して多くの人々が新たに「原発」というものを考えるようになりました。スウェーデンは1980年に原発を問う国民投票を行ったりするなど、市民がエネルギ-政策に深く関わってきた国です。それなのに、3.11の後にドイツと違って市民は案外静かです。市民はどのように考えているのでしょうか。また、使用済み燃料の最終処分場予定地も決まりそうです。その自治体はどのような考え方で受け入れようとしているのでしょうか。
スウェーデンは暖房エネルギ-が死活問題です。冬は外が寒いけれど空気は新鮮、室内は暖かく居心地がよいです。冬はスウェーデンの人々のエネルギ-に対する考え方を一番よく理解できる季節です。
スウェーデンの最近の原発政策は少し曖昧になったけれど、再生可能エネルギ-の導入は一生懸命です。子ども達に希望や生きる力を与えようと、心を込めた教育も行っています。
私が考えるツアーは、ただ受け身で見学するのではなく、自分も発言したり、ディスカッションに参加したりするチャンスがあり、スウェーデンの市民そしてツアーの参加者ともよく交流し、各方面から多くのインスピレーションをもらうツアーです。刺激が力となって、皆が持続可能な日本のイメージを描ける気持ちになれればと願っています。ひょっとすると皆さんがスウェーデンの人々にインスピレーションを与える機会にもなるかもしれません。
「未来に希望のもてるエネルギー政策を求めて!持続可能な社会を目指すスウェーデン市民と出会う旅」
2012年2月4日(土)~11日(土)8日間
スウェーデン(ストックホルム、ウプサラ、ウーメオなど)
詳細はこちら:
http://reborn-japan.com/overseas/5372
転送は大歓迎です。
Lena
2012年01月08日
原発「東京都民投票」のススメ
原発に関して、「東京都民投票」を実施しようという動きがある。原発の未来を国民の直接投票で決めようという運動の地域版である。東京都は、東京電力の株を所有する株主だから、都民は株主ということである。株主が会社に対して声を上げようという試みである。この署名は渋谷のハチ公前など都内の至る所で署名が出来る。2月9日までに30万の署名を集める計画。

私は、都民投票(そして国民投票)に賛成である。大きく二つの理由がある。
ひとつは、国民の政治参加の必要性である。官僚をコントロールするのが政治家だとすれば、政治家をコントロールするのは国民である。しかし、国民は政治をきちんと監視してこなかった。エネルギー政策は、これまで日本の総選挙の争点になることなく、原子力発電だけが盲目的に進められてきた。国民が政策決定のプロセスから排除され、政治家/官僚/電力会社/学者/メディアが閉じられた空間のなかで決めてきたのである。
スウェーデンの政治を見てきたものとして、このことはひどくショックだった。コントラストが大きかったからだ。スウェーデンは1980年に国民投票(参考)で、原発をどうするのかという難しい問題に向き合い、原発を減らしていく決定を下していた(今、スウェーデンでは脱原発はややトーンダウンしているが)。政治的に高度な問題だからこそ、お上に任せるのではなく、 国民が判断を下さないといけない。国民投票は、国民の政治参加を促す良いきっかけになるはずだ。
二つ目の理由は、原発の問題は国論を二分する、政治的に高度な問題である。それゆえ、総選挙で判断を仰げば、政党政治自体が機能不全になる可能性がある(もう既に機能不全であるが)。総選挙では、原発だけでなく、外交、TPPや財政•社会保障などの他の問題に関しても投票するので、国民の民意がどこにあるのか分かりにくい。原発だけが争点化されれば、他の問題がおろそかになるし、逆に、増税や外交が焦点になれば、原発への関心がかすんでしまう。
つまり、国民投票(今回は都民投票)を上手く組み込んでいくことは、国民の政治参加を促すだけでなく、政党政治を円滑に行うために不可欠な作業である。国民投票に委ねると、「大本営発表」に負けてしまうという懸念が聞かれるが、そのプロセスを通じて学んでいくことが大事である。3,11の震災の後、国民は政府やメディアをより批判的に見るようになったと思う。国民投票になれば、メディアはバランスの取れた報道を行なわざるをえないし、国民も情報収集をし考えるようになるだろう。そうやって民主主義は強くなるのである。
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先日、「東京都民投票」を実施するべく奔走している大学生の「どっきょ」という若者と会った。スウェーデン人のレーナさんから紹介してもらった。1月9日に吉祥寺で都民投票の運動を盛り上げるためのイベントを一緒にやるという。制服向上委員会というグループも参加して、「ダッダッダッ脱原発」の歌を歌うらしい。笑。
どっきょはこれまで原発についてあまり考えたこともなかったが、3,11とフクシマですべてが変わったという。反原発の運動で、政治の意思決定に影響を与えられないかと考えていたときに、都民投票(国民投票)に出会った。彼は言う。「何かしたいという若者は多いけど、問題が大き過ぎて何も変わらないと思っている。でも、都民投票は、22万人の署名を集めれば実現できる。これは何かを具体的に変えられる大きなチャンス」。

都民投票の事務所
左でもなく右でもない、そういう古くさいカテゴリーから遠いところにいた、普通の若者たちが動いている。日本も変わり始めているのかもしれない、と感じる。また、嬉しさと同時に申し訳なさと、残念な気持ちもある。日本社会が変わる潮目に、日本にいないことに。むしろ、新しい政治の季節のまっただ中にいる、今の日本の学生達が羨ましく思う。
今回の都民投票の運動では、街頭の署名を集める人達の数が不足している。PR活動も足りていない。まだまだマンパワーが必要だ。もし都内で時間を作れる人がいたらぜひ手伝ってください。また、署名をしていない人はぜひ署名をしましょう。

私は、都民投票(そして国民投票)に賛成である。大きく二つの理由がある。
ひとつは、国民の政治参加の必要性である。官僚をコントロールするのが政治家だとすれば、政治家をコントロールするのは国民である。しかし、国民は政治をきちんと監視してこなかった。エネルギー政策は、これまで日本の総選挙の争点になることなく、原子力発電だけが盲目的に進められてきた。国民が政策決定のプロセスから排除され、政治家/官僚/電力会社/学者/メディアが閉じられた空間のなかで決めてきたのである。
スウェーデンの政治を見てきたものとして、このことはひどくショックだった。コントラストが大きかったからだ。スウェーデンは1980年に国民投票(参考)で、原発をどうするのかという難しい問題に向き合い、原発を減らしていく決定を下していた(今、スウェーデンでは脱原発はややトーンダウンしているが)。政治的に高度な問題だからこそ、お上に任せるのではなく、 国民が判断を下さないといけない。国民投票は、国民の政治参加を促す良いきっかけになるはずだ。
二つ目の理由は、原発の問題は国論を二分する、政治的に高度な問題である。それゆえ、総選挙で判断を仰げば、政党政治自体が機能不全になる可能性がある(もう既に機能不全であるが)。総選挙では、原発だけでなく、外交、TPPや財政•社会保障などの他の問題に関しても投票するので、国民の民意がどこにあるのか分かりにくい。原発だけが争点化されれば、他の問題がおろそかになるし、逆に、増税や外交が焦点になれば、原発への関心がかすんでしまう。
つまり、国民投票(今回は都民投票)を上手く組み込んでいくことは、国民の政治参加を促すだけでなく、政党政治を円滑に行うために不可欠な作業である。国民投票に委ねると、「大本営発表」に負けてしまうという懸念が聞かれるが、そのプロセスを通じて学んでいくことが大事である。3,11の震災の後、国民は政府やメディアをより批判的に見るようになったと思う。国民投票になれば、メディアはバランスの取れた報道を行なわざるをえないし、国民も情報収集をし考えるようになるだろう。そうやって民主主義は強くなるのである。
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先日、「東京都民投票」を実施するべく奔走している大学生の「どっきょ」という若者と会った。スウェーデン人のレーナさんから紹介してもらった。1月9日に吉祥寺で都民投票の運動を盛り上げるためのイベントを一緒にやるという。制服向上委員会というグループも参加して、「ダッダッダッ脱原発」の歌を歌うらしい。笑。
どっきょはこれまで原発についてあまり考えたこともなかったが、3,11とフクシマですべてが変わったという。反原発の運動で、政治の意思決定に影響を与えられないかと考えていたときに、都民投票(国民投票)に出会った。彼は言う。「何かしたいという若者は多いけど、問題が大き過ぎて何も変わらないと思っている。でも、都民投票は、22万人の署名を集めれば実現できる。これは何かを具体的に変えられる大きなチャンス」。

都民投票の事務所
左でもなく右でもない、そういう古くさいカテゴリーから遠いところにいた、普通の若者たちが動いている。日本も変わり始めているのかもしれない、と感じる。また、嬉しさと同時に申し訳なさと、残念な気持ちもある。日本社会が変わる潮目に、日本にいないことに。むしろ、新しい政治の季節のまっただ中にいる、今の日本の学生達が羨ましく思う。
今回の都民投票の運動では、街頭の署名を集める人達の数が不足している。PR活動も足りていない。まだまだマンパワーが必要だ。もし都内で時間を作れる人がいたらぜひ手伝ってください。また、署名をしていない人はぜひ署名をしましょう。
2012年01月07日
2011年と2012年
12月下旬から日本に一時帰国していた。お正月は日本でゆっくり過ごそうと思っていたが、日本に来てみると、できるだけ充実して過ごさないといけないという強迫観念に駆られ、バタバタと過ごすことになった。まるで短い滞在期間にすべてを満喫しようとする観光客のようである。やれやれだ。
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2011年を振り返る。なんといっても、3.11の震災の年だった。それ以外の記憶がぶっ飛んでいる。震災が起こったときはスウェーデンにいて、呆然自失としていた。自分の家が燃えているのを、なす術なく眺めている感じだった。もちろん、直接被害に遭った人々とは比べられないが、ショックを受けたし、スウェーデンにいることに後ろめたさを感じた。
最初の二ヶ月くらいは、無為に日々が過ぎていった。やるべきことはたくさんあるのに、手がつかないことが多かった。まあ、これは出来なかったことの言い訳かもしれない。でも、そこで立ち止まったからこそ、自分がこれからどうするべきか、どう生きるべきかを考えさせられた。そのおかげか、自分がやるべきことも見えてきたと思う。
中長期的には日本に戻り、日本の政治や民主主義の仕組みを良くするために貢献したい。ただ、当面は海外に身を置いて勉学したいと思う。もう少し知的なトレーニングが必要だ。もともとの地頭や知的な瞬発力というのは鍛えるのは難しいが、知的体力は鍛えれば鍛えるだけ増えるし、物事の見方や視野は努力によって広がる。
とにかく目の前の目標としては、①修士論文の作成、②英語とスウェーデン語の能力の鍛錬、そして③日本の社会を良くするための出来るだけの貢献と協力を進める。2012年も、楽しくエキサイティングな年になりますように!
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2011年を振り返る。なんといっても、3.11の震災の年だった。それ以外の記憶がぶっ飛んでいる。震災が起こったときはスウェーデンにいて、呆然自失としていた。自分の家が燃えているのを、なす術なく眺めている感じだった。もちろん、直接被害に遭った人々とは比べられないが、ショックを受けたし、スウェーデンにいることに後ろめたさを感じた。
最初の二ヶ月くらいは、無為に日々が過ぎていった。やるべきことはたくさんあるのに、手がつかないことが多かった。まあ、これは出来なかったことの言い訳かもしれない。でも、そこで立ち止まったからこそ、自分がこれからどうするべきか、どう生きるべきかを考えさせられた。そのおかげか、自分がやるべきことも見えてきたと思う。
中長期的には日本に戻り、日本の政治や民主主義の仕組みを良くするために貢献したい。ただ、当面は海外に身を置いて勉学したいと思う。もう少し知的なトレーニングが必要だ。もともとの地頭や知的な瞬発力というのは鍛えるのは難しいが、知的体力は鍛えれば鍛えるだけ増えるし、物事の見方や視野は努力によって広がる。
とにかく目の前の目標としては、①修士論文の作成、②英語とスウェーデン語の能力の鍛錬、そして③日本の社会を良くするための出来るだけの貢献と協力を進める。2012年も、楽しくエキサイティングな年になりますように!


